2020 Fiscal Year Research-status Report
敗血症関連脳症におけるテトラヒドロビオプテリンの関与とその治療標的としての検討
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19K09438
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上國料 千夏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (50751278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (20381171)
原 怜 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70624815)
安田 智嗣 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80437954)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敗血症 / 敗血症関連脳症 / テトラヒドロビオプテリン / アミノ酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、敗血症関連脳症の発症メカニズムにテトラヒドロビオプテリン (BH4が)関与していることを明らかにし、BH4およびその代謝関連物質の血中濃度調整による、敗血症関連脳症の予防効果もしくは予後の改善効果について検討することである。 2020年度、基礎研究においては、敗血症モデルマウスに対して強力な還元剤であるアスコルビン酸の投与を行なった。マウスはヒトと異なりビタミンCを生合成できるが、敗血症モデルではその血中濃度が著しく減少していることが確認できている。昨年度の結果より、感染から12時間後には有意にBH4の酸化型であるジヒドロビオプテリン(BH2)の血中濃度が上昇しており、より早い時期での投与が効果的であることが予想された。アスコルビン酸投与に際し、高濃度投与の肝腎機能等への影響を検討したが、特に障害を示唆するようなマーカーの上昇は見られなかった。感染直後にアスコルビン酸を投与した個体では、BH2の血中濃度は低く保たれており、アスコルビン酸のBH4の酸化抑制効果が確認できた。アスコルビン酸投与群と非投与群の生存率を比較したところ、アスコルビン酸投与群では生存率の改善を認めた。アスコルビン酸の投与により組織中のBH4の酸化を抑制できていることから、アミノ酸の代謝も改善できていることが示唆され、採取した検体の、特にフェニルアラニン値の測定と比較を次年度以降に実施する。 臨床研究においては、引き続き患者のエントリーと血液採取を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、鹿児島大学から共同研究機関である東京工業大学への訪問ができない状況が発生している。このことにより、保存している患者検体のBH4およびその代謝関連物質の測定が行えていない。また、世界的な感染拡大の影響により、サイトカイン測定キットやマイクロプレート等必要な物品の入手が困難な状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、敗血症におけるフェニルアラニンの体内変化を解析し、これが敗血症関連脳症に関連していることを確認する。また、アスコルビン酸およびBH4の投与がフェニルアラニンをはじめとしたアミノ酸代謝を改善するかについても検討を行う予定である。 臨床研究においては、保管中の検体の測定を行い、病態経過におけるBH4とアミノ酸の変化をまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大による国内移動の制限により、共同研究機関である東京工業大学への検体測定のための訪問が実施できなかった。2021年度は、ワクチン接種が進むことにより感染拡大が抑えられ、計画通りに検体測定を行う予定である。
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Research Products
(1 results)