一酸化窒素（ＮＯ）による人工肺膜表面の生体適合性の改善

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K09441
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 小林 こず恵 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (60448975)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 塚尾 浩 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (10584972) ; 小久保 謙一 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (20287965)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: ECMO（人工肺） / NO / 生体適合性 / 抗炎症効果

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、小型動物（ラット）を用いた体外循環呼吸補助（ECMO）モデルを用いて、人工肺の一酸化窒素（NO）ガスの効果を明らかにすることを目的とした。
2019-2020年度は正常ラットECMOモデルを使用し、in vivo実験により、NO放出表面における白血球、血小板の活性化抑制効果を検討し、NO200 ppmを人工肺の吹送ガスに添加することにより、血液凝固を抑制することを明らかにした。ECMOをARDS、COVID-19感染症、敗血症など重篤な患者に使用する場合もあり、そういった患者において、NOがどのように作用するかは検討する必要があるため、2021年度は、ラット敗血症モデルラットにECMOモデルを用いて、NOガスを付加したとき、NOガスが血液凝固、炎症反応に及ぼす影響の評価を行った。雄性SDラット（10～12週齢、体重350～500g）を盲腸結紮・穿刺法（CLP法）により敗血症モデルラットを作成した。CLP法施術後4時間後から8時間後の間に4時間の体外循環実験を行った。敗血症ラットECMOモデルに高濃度（100-200ppm）のNOガスを添加すると、炎症反応が増悪する可能性が示唆された。炎症により生じた活性酸素がNOと反応した結果、炎症を増強したと考えられた。そこで、敗血症ラットECMOモデルに低濃度（４0 ppm）のNOガスを人工肺の吹送ガスに添加した。NO40ppmでは、NO200ppmで見られた凝固の亢進が見られなかった。このことから、NO濃度を変化させた検討を行うことで、人工肺内の血液凝固を抑制できる可能性がある。IL-6濃度は、NOを添加すると低値を示した体外循環において抗炎症効果が期待できる可能性がある。