2021 Fiscal Year Research-status Report
rRe-challenge to develop new treatment strategies for glioblastoma using EGFR-TKI
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19K09449
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 修平 山形大学, 医学部, 助教 (90637175)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 神経伝達物質 / サバイビン / ルラシドン / ドラッグリポジショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の代表的な研究業績は、有害事象の少ない新規抗精神病薬「lurasidone」が、重要な抗アポトーシス分子の一つである「survivin」の減弱を介して、さらに、もう一つの機序として、最近注目される自食作用ともいわれる「autophagy」の亢進を介して、その二つの経路を介する形で、よく使われる抗がん剤である「osimertinib(タグリッソ)」の効果を高めることができる、というものです。この研究の重要なポイントは3つあります。1つめは、「lurasidone」が体に優しい薬剤で、かつ、セロトニンなどの神経伝達物質にかかわる薬剤である故に、がん治療中の患者さんが陥りがちな気分の落ち込みや辛さにも良い作用を与えてくれる可能性があることです。身体にも、精神にも優しい治療方法としてとらえることができます。また、2つめは、対象とした抗がん剤「osimertinib」は、抗がん剤の中でも有害事象が軽く、倦怠感や嘔気嘔吐、神経障害といった有害事象に乏しく、研究代表者も実臨床で頻用していますが、多くの患者さんに使用しやすく、日常生活を過ごしながら治療ができる、身体に優しい薬剤であり、幅広い患者さんにこの結果を応用しうると考えます。3つ目のポイントは、対象とした悪性腫瘍の種類が幅広く、脳腫瘍・肺がん・膵がん、さらにそれらの、患者由来細胞やがん幹細胞(がん細胞の根源である、根絶すべき存在)でも有効な結果を得られています。それにより、幅広い範囲での臨床応用性が期待できます。このように、有意義な実験結果を得ることができたと考えており、その結果を国際学術誌であるAnticancer Research誌上で報告しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回採択をいただいた基盤(C)(2019-2021年度)の研究成果として、2021年度の報告を含め、研究代表者が筆頭著者もしくは共同筆頭著者である報告をあわせて、直接的に関与する研究として4報、間接的に関与する研究として4報と多くの研究業績を公表することができ、順調な成果を得ることができました。その一方で、研究の深まりにしたがい1年間の研究延長申請を行ったことより、(2)の「おおむね順調に進展している」を選択しました。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究成果をさらに発展させたものとして、現在、全く新しい神経伝達物質である「melanocortin(メラノコルチン)」に焦点を当てた研究と、腫瘍環境における神経伝達物質の関与を明らかにする研究について取り組んでいます。また、ハードルは高いものの機会を見て、神経伝達物質に関連する薬剤の臨床応用へ挑んでいきたいと考えています。
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Causes of Carryover |
一部試薬につき、実験間で使用薬剤が類似していたため、想定よりも効率的な使用が可能であったため。
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Research Products
(2 results)