2019 Fiscal Year Research-status Report
Effects of intracranial hypertension on Glymphatic pathway
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19K09458
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡 史朗 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20420531)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | glymphatic pathway / intracranial pressure |
Outline of Annual Research Achievements |
脳圧上昇がglymphatic pathwayの灌流障害をきたし、脳代謝産物が蓄積することを明らかにするため、まず脳圧上昇に伴う脳循環代謝の変化を特に脳代謝産物蓄積の有無に着目し検討した。Sprague-Dawleyラットを用いて研究を行った。Cisterna magnaにカニュレーションし脳圧の計測および調整を行い、動脈圧も同時に計測することで脳灌流圧を算出した。調整する前の脳圧は平均10mmHg、脳灌流圧は70mmHgであった。脳圧上昇群では脳圧を50mmHgまで上昇させ、さらに血圧を昇圧薬等を用い調整することで対照群同様に脳灌流圧を70mmHgに維持した。 脳血流はレーザードップラー血流計を用いて計測した。脳圧上昇に伴い一過性に前値の10%程度血流が低下を認めたが、すぐに回復し脳圧上昇前と同等の状態となった。50mmHg程度の脳圧上昇および脳灌流圧が維持されている状態であれば脳圧上昇に伴う脳血流変化は軽微であることが分かった。 次に脳圧上昇が脳代謝に与える影響について検討を行った。Glymphatic pathwayにより脳実質から排出されるとされるグルコースおよびラクテートの変化を見るため、脳実質にそれぞれのバイオセンサーを挿入した上で、脳圧および灌流圧を前述の通り調整しリアルタイムでその変化を計測した。脳圧を上昇させたところ脳組織内グルコース濃度は10%、脳組織内ラクテート濃度は20%の上昇を示した。以上の結果から、脳灌流圧が正常範囲にある場合、脳圧上昇は脳血流には大きな影響が無い一方、代謝産物の蓄積に働くことが示唆された。以上の結果は仮説に沿ったものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って脳圧上昇時の血流変化や代謝変化を計測した。研究結果も仮説通り、脳圧上昇により脳代謝産物の蓄積効果を認めていることからも概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光色素で標識した低分子量(Texas Red-conjugated dextran, 3kD)および高分子量(ovalbumin-conjugated Alexa 647, 45kD)のCSFトレーサーを脳槽内に注入することで、Glymphatic pathwayの機能障害を検討する予定である大学院生や研究補助員の協力を得て、研究を計画通り推進していく。
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Causes of Carryover |
ほぼ請求額通り使用したが、旅費が当初の計画より少なかったため残高が生じた。令和2年は主に研究実施に必要な物品、消耗品等および研究結果の発表のため国内出張旅費として使用する予定である。
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