2023 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部傷害に着目したくも膜下出血の新たな予後決定病態の解明
Project/Area Number |
19K09459
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
長谷川 雄 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40599114)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | くも膜下出血 / ラット / 血管周囲マクロファージ / 脳血流 / 脳血管障害 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2023年度は、これまでの研究成果をまとめて論文化し国際誌へ投稿することを目指した。昨年度行ったラットくも膜下出血(SAH)モデルを使ったクロドロン酸の神経保護効果についての研究成果をまとめ脳卒中系の格式のある国際誌へ投稿、査読後の追加実験を行い以下の結果を得た。「80匹のオスラットにクロドロン酸を脳室内投与、3日後にSAHモデルを作成し急性期脳血流変化をモニターした。さらにその3日後に神経学的所見を確認し摘出脳における様々な因子についての表現型を検討した。その結果、クロドロン酸は血管周囲マクロファージを有意に減少させ、重症SAHの神経機能を改善した。その効果はSAH後の脳血流低下や低酸素誘導因子1αの発現を抑制することと関連すると考えられた。」この成果は、最終的に3回の追加実験を経てNeurocritical careから受理された。脳血管周囲マクロファージは脳内の交感神経活動に一定の役割を持つことが報告されている。本研究成果は、交感神経活動を統括する視床下部の役割を補完するものと考えている。 また、この研究成果により得た多くの知識と最近の知見を基に、脳血管障害における脳血管周囲マクロファージの役割についてまとめ総説を作成、臨床神経学関連の格式高い国際誌であるExperimental Neurologyへ投稿し受理された。脳内の交感神経活動を修飾し得る脳血管周囲マクロファージは脳卒中の病態形成に役割を持つことがわかった。本年度の成果により、くも膜下出血だけでなく他の脳卒中や関連する脳疾患において、視床下部を中心とした中枢性交感神経の役割を将来的に検討できる道筋が整ったと考えている。
|