2019 Fiscal Year Research-status Report
Wide-band ECoG analysis for establishing epilepsy detection and prediction system based on ECG algorithm
Project/Area Number |
19K09475
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
前原 健寿 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40211560)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 幸一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10642514)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | てんかん発作予知 / 心拍変動(HRV)解析 / 頭蓋内電極 / 部分てんかん / 広帯域脳波解析 / Autoencoder (AE) モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は従来、長時間ビデオ脳波記録患者を対象に、心拍変動(HRV)解析がてんかん患者の覚醒時発作予知に有効であることを報告してきた(Fujiwara et al. IEEE Trans Biomed Eng 2016)。しかし、本システムを臨床応用するためには解決すべき問題点として以下の2つが挙げられる。1)心拍変動に対するアルゴリズム解析がてんかん発作予知に有効であることを証明しているが、その機序は明らかではなくさらなる検討が必要である。2)先行研究における発作検知感度は93%と従来の頭皮脳波を用いた発作予測感度74%より良好であるものの、偽陽性率は0.8と高くなっているため、偽陽性を減らすための新たな研究が必要である。 本研究では、頭蓋内脳波による検討を行うことで、上記2つの問題を解決することを目的としている。1)を解決するために、頭蓋内脳波を用いて、A)頭蓋内脳波で記録された発作波が心拍変動を惹起し、その後に臨床発作や、頭皮脳波変化が起きているのか?B)頭蓋内脳波で記録される発作より以前に、脳内に発作を誘発する何らかの変化が起こり、心拍変動を生じているか?を検討する 次に2)を解決するために、偽陽性として検出された心電図変化検出時間に記録された皮質脳波を分析し、脳波変化が起きているか否かを検討する。まず偽陽性として、検知された部位を頭蓋内脳波で分析することで頭皮脳波が検知できない電気的発作が起きているかを確認できる。一方で発作が確認できない真の偽陽性の場合でも詳細な脳波分析を行い、どのような変化が起きているかを分析する。本研究の皮質脳波分析には、従来の目視による脳波変化の欠点を補う目的でHFO(高周波律動)からDC(direct current)電位変化も分析できる広帯域脳波解析も用いる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、電極留置術を施行した3名の部分てんかん患者を対象にして、覚醒時、睡眠時双方のビデオ皮質脳波モニタリングを施行後2名以上のてんかん専門医が解析し、発作を検出した。その後HRV解析を行い,既存のAutoencoder (AE) モデルを転移学習させることで発作予知を行った。結果は以下の通りであった。 症例1) AEモデルの転移学習には約2時間分の間欠期データを用いて、 間欠期データ2部位 (約3時間20分)と発作データ6回を解析した。発作予知は 5/6 回で成功,誤検知は3回であった。症例2)約4時間分の間欠期学習データを用いて間欠期データ12部位 (約8時間)と発作データ2回を解析した。発作予知は 1/2 回で成功し、誤検知は0回であった。症例3) 約22分の間欠期学者データを用いて、間欠期データ2部位(約44分)と発作データ2回を解析した。発作予知は2/2回成功し,誤検知は3回であった。本症例では、術前頭皮ビデオ脳波モニタリングの解析も行ない、約26分の間欠期学習データを用いて、間欠期データ2部位(約50分)と発作データ1回を解析した。発作予知は 0/1 回で誤検知は1回であった。 以上より、頭蓋内電極脳波でも頭皮脳波同様にてんかん発作予知にHRV解析は有効であったことが、判明した。 上記研究結果は、第6回脳神経外科 BMI研究会(2019年10月26日:山口)、第43回日本てんかん外科学会(2020年1月9日、浜松)で報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回、頭蓋内電極脳波でも頭皮脳波同様にてんかん発作予知にHRV解析は有効であったが3例の解析であったため、今後さらに症例を積み重ねることが必要である。 また頭蓋内電極留置術が必要となる難治性部分てんかんは大きく分けて、側頭葉内側てんかんとその他に分けられるが、両者の違いにも注目した検討を行いたい。特に頭蓋内脳波による発作が心拍変動による予知ができない症例に対しては、どの部位からの発作の場合に発作予知が困難であるかについての検討が有用であると考えられる。 さらに頭蓋内電極を用いた心拍変動偽陽性の解明と精度の向上のために、心拍変動アルゴリズムにより発作予知可能であった時点と、偽陽性であった時点での広帯域脳波解析を行い、両者の違いを検討する。Conventional脳波での解析に加え、DC 電位の違い、HFOでもripple帯域(80-200Hz)とfast ripple帯域(250Hz以上)の脳波変化の有無を偽陽性部位、陽性部位毎に検討する。さらに、陽性部位と偽陽性部位における時間領域指数と周波数領域に関する8つの指標との相関を解明し、より制度の高い心拍変動アルゴリズムを作成する予定である。 頭蓋内電極症例の中には、術前検査として頭皮ビデオ脳波モニタリングを行いHRV解析施行した症例も存在する。このような症例つまり頭皮脳波、皮質脳波両方のHRV解析施行例に対しては、両者の発作予知、誤検知を比較検討することで発作予知率の向上と誤検知率の改善を図る予定である。
|
Causes of Carryover |
業績発表のための学会参加費の一部は、次年度に持ち越すことがより有用であると考えられた。
|
Research Products
(3 results)