体性感覚野へ上行する内臓感覚求心路の未知の脳幹中継核を光学的マッピングで同定する

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K09481
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 伊藤 眞一 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (10145295)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 横田 茂文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50294369) ; 濱 徳行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60422010)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 内臓感覚野 / 内臓感覚上行路 / 高閾値体性感覚 / 脳幹 / 三叉神経核

Outline of Annual Research Achievements

迷走神経の電気刺激で短潜時の応答を生ずる大脳皮質領域が２カ所あり、その２領野ともに高閾値の体性感覚入力がある。この、内臓－体性感覚収斂皮質への入力の経路を明らかにするのが本研究の目的である。これまでの研究で視床中継部位を明らかにしており、そこからさらに下位の部位・脳幹中継核を検索した。
１.視床中継核にトレーサー（CTｂ）を注入して逆行性に標識される脳幹部位を検索した。注入部位によって様々な結果が得られ、現在検討中である。２.これと平行して、体性感覚刺激の応答を脳幹で検索した。三叉神経核の特定の部位で、高閾値の体性感覚入力を持つ領域を見いだした。短潜時でほとんど全身の皮膚から入力を受ける。３.その部位の微小電気刺激により２カ所の内臓－体性感覚収斂皮質に応答が生じた。４.その部位の通電破壊により体性感覚刺激に対する皮質応答が２カ所とも消失した。
これらの結果から、この脳幹の部位が体性感覚について皮質２領野の共通の中継核となっていると結論した。三叉神経核の中あるいは近傍に全身の体性感覚入力があるのは異例であり、ここに未知の機能領野があると示唆される。なお、この部位では迷走神経刺激の応答は得られなかった。孤束核での応答はあるので迷走神経の興奮は確実だが、一方で皮質投射する迷走神経線維の刺激条件も問題があるため、今回の結果からこの部位に迷走神経入力がないとも即断できない。内臓感覚と体性感覚は視床で初めて合流して皮質に投射するのか、この部位ですでに合流しているのかさらなる検討が必要である。