2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of new devise of continuous olfactory mucosa stimulation for intraoperative monitoring and treatment of cognitive dysfunction
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19K09493
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
坂田 清彦 久留米大学, 医学部, 講師 (90368936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 基浩 久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
小牧 哲 久留米大学, 医学部, 助教 (20597413)
折戸 公彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50597408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嗅粘膜刺激電極 / 嗅神経刺激電極 / 持続留置型 / 嗅神経刺激誘発電位 / 術中モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究を要約すると、新たな嗅粘膜刺激電極を設計しそれを用いて非侵襲的に嗅神経を刺激することで得られる臨床的効果を検証するという内容である。この研究を実践していくために最も必須かつ重要な内容は新たな嗅粘膜刺激電極の作成であった。これの完成を初年度の達成ラインと設定し、覚醒下においても疼痛なく、かつ脱落やズレを生じない鼻腔内に留置可能な電極の設計と開発に着手した。Randomに取得した副鼻腔CT画像から鼻腔内の構造を計測した。前頭洞後縁から蝶篩陥凹までの前後径で前頭蓋底ラインから10~15mmの範囲で嗅粘膜が存在すると仮定し、鼻腔底からの高さ、鼻腔入り口から後鼻孔までの深さを計測し、成人における平均値を算出した。この数値をもとに当初は研究計画書のごとくバネ力を応用したV字型の留置電極をデザインし作成した。これを各々の鼻腔内に挿入して不快感なく留置可能か検証した。 初年度は上記のように主に機器の開発を中心に行ったため、学会や論文として報告できる段階へはまだ到達できていないものの、この新たな嗅粘膜刺激電極を用いた嗅神経誘発電位の再現性のある検出ならびに術中嗅神経モニタリングの確立を研究補助事業期間中の第一段階の目標と設定しており、これから臨床に応用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のバネ式V字型嗅粘膜刺激電極のプロトタイプが作成できたので、研究者が被験者となり鼻腔内に挿入してみた。挿入は比較的容易にできたものの留置中の激痛を伴い、覚醒下の長時間留置は困難だと判断した。この電極を用いて術中モニタリングが可能かどうか検証するのは発展性がないと考えられたためこのプロトタイプは廃案とし、別の形態での電極作成を模索した。 鼻中隔矯正に対する術後の副木としてマグネスプリント(Medtronics社)なる商品があるが、この製品にヒントを得て、両側鼻腔より挿入した強力マグネットを包埋するシリコンプレートで鼻中隔を挟みこみ、その上端に電極が留置されたものを開発した。当初は左右それぞれのプレートに2点電極をおいて、左右でそれぞれ刺激を行うものを作成したが、磁石の配置によって左右のプレートがズレなく留置可能なことから、嗅粘膜を左右からはさんで刺激する方式に変更し、それぞれのプレートに1点の刺激電極を配置したものとしプロトタイプを作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のマグネットプレートによる嗅粘膜刺激電極は内視鏡などを用いずにblind下でも比較的安全に留置が可能であり、留置下に頭部レントゲンを撮像するとその電極の位置がどこか明確に判断可能であった。この新たな刺激電極を使用した術中モニタリングを前頭蓋底腫瘍の症例、前頭側頭開頭で前頭葉挙上による嗅神経損傷のリスクのある症例に限定して順次開始していく方針である。現在倫理委員会に申請中であり、認可され次第十分なインフォームドコンセントの下、術中モニタリングを行っていく。 しかしながら指摘刺激電位や嗅神経刺激電位(OEP)が再現性強く検出できる部位なども現時点では不明な点が多い。
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Causes of Carryover |
電位の増幅に必要な小型増幅装置や解析に必要なパソコンなどを購入し、電極作成に必要な経費など順当な経費は使用できた。最終的に設計された嗅粘膜(嗅神経)刺激電極は一組の製作に44000円と予想より高額となったたため、次年度での電極製作に関する経費での不足分として補填する予定である。
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