2019 Fiscal Year Research-status Report
炎症性ケモカインCCL2阻害薬によるグリオーマ腫瘍幹細胞休止期駆逐療法の基礎研究
Project/Area Number |
19K09497
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
浅野 研一郎 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90312496)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪性グリオーマ / Fbxw7 / 炎症性ケモカイン / CCL2阻害剤 / 腫瘍幹細胞休止期駆逐療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性グリオーマが予後不良である原因の1つとして、腫瘍の浸潤性の強さが考えられる。申請者は腫瘍細胞の浸潤を防止し、一カ所に遊走沈着させることにより効率的な治療が可能になると考えた。そのため腫瘍摘出術後、グリオーマ細胞に対して間接的細胞接着因子増強作用を有する分子標的治療薬を摘出面に塗布し、腫瘍細胞を凝集させることに成功し、高濃度プロティオグリカン人工基質にグリオーマ細胞を吸着させ、プラスミンを用いて基質から融解排出させ、効率的に腫瘍細胞を根絶させる実験に成功した。しかしin-vivoの実験系で再発があり幹細胞系の遺残が原因と示唆された。そのためSCF複合体型ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットの一つであるFbxw7に注目し、Fbxw7, c-Myc, notch, 炎症性ケモカインCC motif chemokine ligand 2 (CCL2)カスケードを利用し、CCL2阻害剤にて処理、幹細胞系を根絶させ治癒をめざす実験を計画した。 初年度はIn vitro 腫瘍幹細胞休止期駆逐療法の確立を目指すこととした。腫瘍細胞の浸潤した人工基質へのプラスミンを基質の融解媒体として投与後、CCL2阻害剤を投与する。簡易フローサイトメータを用い腫瘍細胞が細胞休止期から駆逐されていることをG1レベルで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基底膜を模して作られたECMatrigelにC6-GFPを入れ48時間インキュベートし浸潤モデルを作成した。至適濃度0.1nmol/mlのAG1478をECMatrigelへ投与し、C6-GFPを凝集させる従来の完成モデルを利用した。5 nmol/ml高濃度プロティオグリカンとフィブリングルーで人工基質を作成、C6-GFPを遊走人工基質に吸着させる。約1週間反応させた後、1.0 nmol/mlプラスミンで融解、CCL2阻害剤を投与。各至適濃度を検討したが10~100nmol/mlが至適濃度であることが簡易フローサイトメータのG1レベルで確認された。 病理標本を作成し、CD133やnestinの検索を行い発現低下が確認されたが、一部IL2やIL6の発現が強く見られ、一部炎症は反応が強くなることが示唆されVEGF発現も強くなる傾向がみられた。この炎症反応をいかに弱く抑えるかという方策を検討していたため、年度内での研究にやや遅滞が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は全体的に遅れ気味である。これは前記の如く、濃度依存的に炎症反応が強くなりVEGFを惹起することが原因と考えられる。10~100 nmol/mlとの濃度が得られても、まだ微妙な調整が必要である。もしくはCCL2阻害剤に変わる抗CCL2抗体による治療法の変更も一考の可能性がある。 以上のin vitroの実験で、CCL2阻害剤の投与量の確認と細胞駆逐療法が可能かの最終検討を行い、in vivo(次年度)の実験で検証することを目標とする。
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Causes of Carryover |
病理標本を作成し、CD133やnestinの検索を行い発現低下が確認されたが、一部IL2やIL6の発現が強く見られ、一部炎症は反応が強くなることが示唆されVEGF発現も強くなる傾向がみられたことにより、その原因検索に時間を要した。そのため炎症反応を抑えるための方策を検討している間に研究自体がやや滞り、さらなる至適濃度の検討が遅れ年度内での研究にやや遅滞が生じたための残金である。 今後はIL2、IL6、VEGFの発現を抑制できる様な方策としてCCL2阻害剤の投与量の再調整と原因検索が必要である。そのため病理標本をもう一度作成して免疫沈着物の確認とその発生抑制のためステロイドもしくは免疫抑制剤の使用が考慮されるためこの追加検証実験のために使用する予定である。
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