2019 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫の神経好性浸潤機構を高分子ナノファイバーを用い解明し制御する医工学的研究
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19K09502
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
北井 隆平 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員准教授 (80251990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 聡 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (60504652)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / 浸潤 / 医工学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数のナノファイバーを橋渡しした培養フラスコを作成した。培養フラスコは径2.5cmのものであり、滅菌の上、細胞を播種した。ファイバーが均一の太さ、張力であることを確認した。基本的な実験装置の標準化が達成された。 脳腫瘍細胞をファイバー上に同時に播種し、ビデオタイムラプスで観察し細胞の移動速度を定量化した。複数の細胞で定量化を行い、他の癌腫細胞(消化器がん)よりも脳腫瘍細胞株の移動速度が大きいことを証明した。 腫瘍は双方向性に移動するので、一方向に移動するような、ファイバー径を変化させることやファイバー上にたんぱく質をコーティーングする手法について実証中である。ファーバー径については5マイクロメータ-から15マイクロメーターまで変化させることができ、脳腫瘍浸潤モデルに適した10マイクロメーターのファイバーを使用することとした。タンパクコーティーングについては、紫外線によりファイバーの表面改変を行い、タンパクコーティーングを行った。 摘出脳腫瘍組織より、primary cultureを確立し、5症例の1-5世代の腫瘍細胞を凍結保存した。今後、ファイバーに腫瘍細胞株と臨床検体である脳腫瘍細胞を播種させ、移動速度を比較検討する。臨床検体において、腫瘍コア部分と腫瘍辺縁部をナビゲーター装置で別個に検体を採取した(3症例)。各々の部位において、腫瘍中心の腫瘍細胞、浸潤細胞について、免疫組織化学で同定した。それらの細胞の細胞移動に関するタンパク(中間径フィラメント、Rhoキナーゼ、CD163、接着因子インテグリン系)を免疫染色にて評価した。組織標本から浸潤細胞をLaser microdissectionで切除した。今後遺伝子発現について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学院生が臨床も兼任しているため、昨今の医療需給の切迫により研究が遅れている。医工学系の工学部門、培養装置やタイムラプスに関する研究は工学部大学院生が担当しており、おおむね順当に進捗している、しかしながら、3月以降は研究室の使用が制限されており、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は工学的な装置開発を元に、脳腫瘍の浸潤という生物学的現象を定量化する研究である。引き続き工学部では入手困難な臨床検体を使用し、実証実験を行う。新規の装置開発に重きを置いている研究であり、工学部との両輪で研究を進めている。ものづくりに関しては順調ではあるが、ファイバーにたんぱく質のコーティーングという付加価値をつけることに関してはトライアンドエラーが続いている。しかしコーティーングの手法はいくつかあるので早晩、もっとも良い方法が見つかるものと考えている。手術摘出のなされる新規の脳腫瘍患者の検体をできるだけ多く採取し、工学系の開発材料を用いて、新規の治療開発、メカニズムの解明に努める。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画より若干の遅れが生じており、それに伴い、未購入の実験用品があるため。 今後、予定の研究は遂行予定であり、使用する予定である。
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