2021 Fiscal Year Annual Research Report
3Dチタンプリントによる頭蓋・脊椎インプラントの骨誘導性獲得
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19K09517
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Research Institution | Akita Cerebrospinal and Cardiovascular Center |
Principal Investigator |
菅原 卓 秋田県立循環器・脳脊髄センター(研究所), 医工学研究部, 研究部長 (80241660)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チタン合金 / 3Dプリンター / 骨誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
3Dチタンプリンターは熱源により電子ビーム方式とレーザービーム方式に大別される。電子ビーム方式は造形前にチタン合金粉末を予熱するため、造形体の熱膨張・収縮を抑制し、残留ひずみを低減させることが可能である。また、真空中での造形を行うので酸化・窒化が起きにくく、造形速度が速い。レーザービーム方式は使用するチタン粉末が細かく、積層厚さも小さく設定が可能であり、精度が高い。この熱源の違いの他に、造形時にはチタン粉末の大きさ、積層厚の他に走査速度、ビーム電流値といった変更可能なパラメーター数多く存在するが、造形条件と造形物の特性との関係は検討されていなかった。 R3年度には電子ビーム造形で各条件を設定して64チタン合金板(10 x 10 x 1mm)を造形、コントロールとして切削64チタン板を作成した。これらのサンプルの表面粗さを測定し、人工体液中に浸漬して結晶の析出を観察、・同定した。疑似体液は血漿無機成分を模擬したKokubo溶液、Hanks溶液をベースに溶液中無機イオン濃度を変化させた溶液を作成、チタン板を溶液中(恒温培養器37℃)で2週間浸漬した。洗浄後に走査電子顕微鏡(SEM)で表面の結晶析出を評価し、結晶の組成をX線回折装置(XRD)とエネルギー分散型X線分光法(EDX)で評価し、析出物がアパタイト(リン酸カルシウム)かどうかを確認した。プリントしたチタン板上には結晶の析出がみられ、リン酸カルシウムであることが確認された。一方、コントロールの切削チタン板では表面結晶の析出はみられなかった。電子ビームによる3Dチタンプリントの結果、骨誘導性が獲得される可能性があることが示された。
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