2020 Fiscal Year Research-status Report
網羅的代謝産物解析による星細胞腫の悪性転化機序解明と早期診断への応用
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19K09520
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金森 政之 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60420022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 悌二 東北大学, 大学病院, 教授 (00217548)
梅田 みか (渡辺みか) 東北大学, 大学病院, 准教授 (20292344)
麦倉 俊司 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (20375017)
前川 正充 東北大学, 大学病院, 准教授 (70572882)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | glioma / metabolome |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:IDH遺伝子変異型星細胞腫の悪性転化の基盤となる代謝産物異常を探索し、病態解明・早期診断方法への応用の可能性を明らかにすることを目的に2年目の検討を行った。 2019年度には、東北大学脳神経外科で摘出をおこなったIDH変異型腫瘍の凍結検体40例を用いて、イオントラップ型質量分析計(Orbitrap mass spectrometer)によるメタボローム解析をおこない各サンプルからスペクトルデータを収集し、悪性転化を予測できそうなピークのスクリーニングをおこなった。 2020年度は、悪性度の高いグレードIVとII, IIIを鑑別可能なピークを確認し、分子の同定を試みた。この結果、2つの分子が同定できた。現在、この代謝産物の定量をグレードIVとII, IIIのサンプルでおこない、悪性部分で特異的に上昇しているか、否かを解析している。 加えて、摘出中に、放射線化学療法感受性がある乏突起膠腫と抵抗性の星細胞腫を正確に鑑別することは摘出方針の決定のために重要である。両者を鑑別するために同様の手法で鑑別に有用なメタボローム上のピークを探索し10種類のピークを候補として挙げた。ピークから代謝産物候補をあげ、同定、4種類の候補代謝産物を選択した。現在、この4つの代謝産物の定量を乏突起膠腫と星細胞腫についておこない、感度、特異度を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では候補となる代謝産物がもう少し同定されることを期待していたが、上記の状況であった。しかし候補となる代謝産物は同定され当初予定した通りに研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、同定された代謝産物の定量をおこない、感度、特異度を検討している。今後、スクリーニングをおこなった腫瘍と別検体でバリデーションをおこない、さらに生体内での代謝産物の測定をMR spectroscopyで行う予定である。 一方で、代謝産物が実臨床で有用であるのかは多数のサンプルでの検証が必要であり、2021年度の課題である。検体数が不足する場合は、多施設での検討も必要と考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた腫瘍の分子生物学的な異常に関する検討がでいなかったため。2021年度に実施予定。
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