2019 Fiscal Year Research-status Report
Real-time monitoring of intracellular ATP concentration in acute spinal cord injury
Project/Area Number |
19K09527
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大西 諭一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00533811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / ATP / 急性期 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷では直達障害により血管が破綻し脊髄が圧迫される。損傷部は血栓、血腫、浮腫が生じ血流が低下し、組織虚血から細胞内ATPの低下・枯渇を引き起こす。脊髄損傷急性期に細胞内ATPが時間的空間的にどのような変化を起こすかは不明な点が多い。脊髄損傷の病態生理学的理解は著しく進歩しているが、完全損傷における神経学的転帰を改善するための効果的な治療法はない。脊髄損傷早期除圧術は不完全損傷に対して神経学的改善をもたらすが、完全な損傷への影響は不明なままである。本研究では、個体内で細胞レベルのATP量を非侵襲的かつ定量的に計測する事ができる細胞内ATP可視化マウスを用い、脊髄損傷急性期の細胞内ATPのリアルタイムモニタリングを行い、脊髄損傷後の細胞内ATPの時間的空間的変化を明らかにする。そして急性期の細胞内エネルギー代謝変化が脊髄2次損傷の増悪に与える影響を評価する。 研究実施計画では、①脊髄損傷後の組織学的評価とBMSによる下肢運動機能評価、②脊髄損傷後の組織血流変化の時間的空間的解析と評価、③脊髄損傷後の細胞内ATP変化の時間的空間的解析と評価、④損傷脊髄の質量分析と⑤脊髄細胞内エネルギー代謝が2次損傷の増悪に与える影響の評価を予定している。 今年度は、圧排時間の異なる脊髄損傷モデルマウスを確立した。レーザースペックルフローグラフィーを使用して時間的空間的に血流変化を調べた。細胞内ATPのリアルタイムモニタリングを行なった。質量分析イメージングを行なった。さらに損傷部の組織学的解析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、圧排時間の異なる脊髄損傷モデルマウスを確立した。モデルマウスの解析から、短い圧排時間では損傷組織を軽減した。一方、レーザースペックルフローグラフィーを使用して時間的空間的に血流変化を調べたところ、より長い圧排時間で損傷頭側に再灌流領域を発見した。質量分析イメージングでは、損傷頭側でのり電子輸送鎖を含むミトコンドリアの代謝が示唆された。質量分析と蛍光画像解析よりスーパーオキシドと過酸化水素が損傷頭側で有意に生成していた。細胞内ATPのリアルタイムモニタリングでは、頭側再灌流領域でATPの低下が認められた。これらの結果から、脊髄損傷早期の減圧は損傷を軽減する一方、損傷部血流分布の不均衡をもたらし、再灌流時により非対称に病変拡大が起こることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄損傷急性期における、①頭尾側での血流不均衡とそれに伴うエネルギー代謝不均衡の生じる原因と②ROS治療効果を調べていく。
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Causes of Carryover |
動物実験施設の改修作業により、飼育実験動物の縮小が必要となり、その分飼育費が減少したため。来年度以降の動物実験施設費用に使用する予定。
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Research Products
(10 results)