2021 Fiscal Year Annual Research Report
Real-time monitoring of intracellular ATP concentration in acute spinal cord injury
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19K09527
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
大西 諭一郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 非常勤研究員 (00533811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ATP / 解糖系 / 代謝 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
『諸言』 脊髄損傷では直達障害により血管が破綻し、組織虚血から細胞内ATPの低下・枯渇を引き起こす。脊髄損傷急性期に細胞内ATPが時間的空間的にどのような変化を起こすかは不明な点が多い。『目的』本研究では、脊髄損傷急性期の細胞内ATPのリアルタイムモニタリングを行い、脊髄損傷後の細胞内ATPの時間的空間的変化を明らかにし、急性期の細胞内エネルギー代謝変化が脊髄2次損傷の増悪に与える影響を評価する。『方法』T10胸髄圧挫損傷モデルマウスを作成した。グルタルアルデヒド灌流固定後に1μmの薄切切片を作成し、トルイジンブルー染色を行なった。レーザースペックルフローグラフィーにて脊髄損傷前後でのリアルタイム血流変化を評価した。GO-ATeam2マウスと質量分析イメージングから損傷部でのATPを評価した。さらに損傷部の代謝産物のメタボローム解析を行った。動物実験は倫理委員会にて承認された動物実験計画書に則って行われた。『結果』脊髄損傷後の軸索変性は頭尾側に徐々に広がった。損傷頭側での軸索変性は損傷直後から進行し、損傷尾側での軸索変性は遅れて進んだ。損傷頭尾側での軸索変性の進行の違いのメカニズムを、エネルギー代謝の違いによることを本研究で明らかにした。『考察』本研究では、脊髄損傷急性期では損傷頭側で細胞内ATPは枯渇し、損傷尾側では維持されることが明らかとなった。また、プリンヌクレオチドの代謝分解産物は頭尾側で差はない一方で、T C A回路と解糖系は損傷尾側で亢進していた。さらに、損傷頭側で軸索変性は進行し、解糖系阻害剤投与下で損傷尾側の軸索変性は進行した。これまで、脊髄損傷後の軸索変性は徐々に両側性に広がっていくと考えられていたが、本研究によって、軸索変性は時間空間的に頭尾側で異なることが明らかとなった。そして損傷尾側での軸索変性の進行が解糖系によるエネルギーによって制御されていた。
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Research Products
(5 results)