2020 Fiscal Year Research-status Report
新規ウイルス投与法によるALS局所モデルと治療法の探索:TDP43断片化の病理
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19K09532
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
神里 興太 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10554454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣花 学 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20274897)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / アデノ随伴ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、1).断片化tranactive response DNA binding protein of 43kDa(TDP-43)を神経細胞においての誘導するためのウイルスベクターの作成、2)ラット軟膜下投与によるTDP-43断片化C末端遺伝子導入と電気生理学的評価、という2つの計画に関し以下の検討を行なった。 1)「TDP-43断片化C末端遺伝子を神経細胞においての誘導するためのウイルスベクターの作成」のためにsynaptophysinをプロモーターとしてアデノ関連ウイルスセロタイプ9を作成した(AAV9-syn-pTDP43)。ヒト神経芽細胞腫培養細胞、マウス初代神経培養細胞を用いた遺伝子発現実験およびタンパク発現実験のためにユビキチンをプロモーターとしたウイルス(AAV9-UBI-pTDP43)を作成し、その発現を検討した。pTDP43-mRNAが上昇していることを確認できた。一方、ウェスタンブロッティングによるタンパク発現を確認した。 2)「ラット軟膜下投与によるTDP-43断片化C末端遺伝子導入と電気生理学的評価」のために、予備実験として緑色蛍光タンパク (GFP)を誘導する実験を実施し野生型SD系ラット脊髄に軟膜下投与した。投与後6-8週後における免疫組織学的検討でGFPの強力な発現を確認できた。 今年度、作成したAAV9-Syn-pTDP43を軟膜下に投与し、タンパク発現と神経細胞死の組織学的評価を実施した。免疫組織学的検討において、想定していたpTDP43と共発現させているGFPタンパクの発現が少なかった。また、神経細胞死も確認することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AAV9(AAV9-UBI-pTDP43 / AAV9-Syn-pTDP43 / AAV9-Syn-GFP)の作成とその評価に関しては問題なく実施できている。また、手術としてラット軟膜下ウイルス投 与に関しても手技的な問題は生じておらず、このまま検討を継続して問題はない。 1)「TDP-43断片化C末端遺伝子を神経細胞においての誘導するためのウイルスベクターの作成」のためにAAV9-UBI-pTDP43およびAAV9-syn-pTDP43を作成した。 ヒト神経芽細胞腫培養細胞を用いた検討でpTDP43の発現を検討した。マウス初代神経培養細胞におけるAAV9-Syn-pTDP43による神経に対する遺伝子導入効率に関しても問題は生じていない。 2)「ラット軟膜下投与によるTDP-43断片化C末端遺伝子導入と電気生理学的評価」のために、予備実験として緑色蛍光タンパク(GFP)を誘導する実験を実施し、投与後6-8週後における免疫組織学的検討でGFPの強力な発現を確認できた。今回、作成したAAV9-Syn-pTDP43を軟膜下に投与したが、pTDP43と共発現させているGFPタンパク発現が十分量確認できなかった。また、神経細胞死の組織学的評価でも細胞死の確認ができなかった。より効率的なタンパク発現を調整できるターゲット部位の調整が必要であると考えられる。 また、電気生理学的検討を実施していくための予備実験を早期開始する予定である。その予備実験として、筋攣縮を生じるラットモデルとして高位胸髄横切断モデルを作成し、筋攣縮のモニタリングは実施可能であることを確認した。神経細胞死の電気生理学的検討に関して、技術的問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を推進する予定である。 ウイルス作成に関して、その感染効率に関しての検討を初代神経培養系において検討し問題はなかった。今回報告した様に動物モデルにおける検討に関して、作成したAAV9-Syn-pTDP43を軟膜下に投与し、タンパク発現と神経細胞死の組織学的評価を実施したが、共発現させたGFPタンパクの発現が少なく、神経細胞死も確認できなかった。さらにウェスタンブロッティングによる直接的なタンパク発現評価を行う計画である。また、ウイルスの感染効率あるいは標的部位の問題がないか、より効率的なウイルス作成に関しても同時に検討を進めていく計画である。当初計画していた電気生理学的検査は、今回予備実験を終え、いつでも実施できる体制が整っており、問題はない。
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Causes of Carryover |
予算計上を行い、発注し納品も終了している。支払いのみ次年度に行う。
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