2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular background of malignant transformation in IDH mutant astrocytic tumors
Project/Area Number |
19K09535
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
白畑 充章 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20534944)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 星細胞腫 / IDH遺伝子変異 / 悪性転化 / CDKN2A/B共欠失 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロアレイを用いた先行研究にて、IDH変異型星細胞腫では治療経過に伴いゲノムのコピー数異常が蓄積されやすく、CDKN2A/B遺伝子座に共欠失を生じると予後不良となることが示されたが、マイクロアレイは網羅的解析が可能である反面、臨床検査としては利便性に欠け、個々の遺伝子についてのコピー数異常の測定はプローブの設定が限定的で粗いという欠点があった。本研究では標的とする遺伝子領域に対してコピー数異常をより詳細に定量的に測定可能であるMLPA法を用いて解析を行った。IDH変異型星細胞腫を対象にCDKN2A/B遺伝子座の各エクソンにおけるコピー数異常を測定し、CDKN2A/B遺伝子座の共欠失を認めた症例では有意に予後不良であることが示され、MLPA法を用いたCDKN2A/B遺伝子座欠失の評価はIDH変異型星細胞腫の悪性度評価に有用であることが明らかとなった。再発時にCDKN2A/B遺伝子座共欠失を生じた症例では全例で病勢の進行が急速であり、再発時にCDKN2A/B遺伝子座が保持されていた症例では良好な治療経過が得られたことからMLPA法に基づくCDKN2A/B遺伝子座共欠失はIDH変異型星細胞腫の悪性転化の分子的指標の一つとなり得ることが示唆された。CDKN2A/B遺伝子座全体に共欠失が起こる前に部分的な欠失がみられることを確認できた症例があり、悪性転化の前段階として臨床的には注意を要することが示唆された。CDKN2A/B遺伝子座ヘテロ欠失と判定された症例のうちExon2の共欠失を認めた症例で早期再発を認めた。p14, p16両遺伝子の構成因子であるExon2の共欠失は予後に関連する可能性が考えられた。一方Exon1やExon3のみに欠失をもつ症例は認めなかった。術前画像で局所悪性化が示唆された症例について術中ナビゲーションを用いたサンプリングを行い腫瘍内不均一性を検討した結果、病理所見にて高悪性度部位で共欠失を認め、IDH変異型星細胞腫における局所悪性転化を捉えた可能性が考えられた。
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