2019 Fiscal Year Research-status Report
コンディショナルノックアウトラットを用いたMkxの発生・恒常性維持機構の解明
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19K09544
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 義晃 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (50511044)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Mkx / 腱 |
Outline of Annual Research Achievements |
腱は、骨と筋肉を繋ぎ、運動機能の要となる結合組織で、外傷や疾病、加齢による腱の損傷はQOLの低下を招く。腱は栄養血管が少ないことから再生能力に乏しく、腱損傷に対する新たな治療法の開発が望まれるが、その基盤となる形成・維持機構は未だ不明な点が多く、その解明が急務となっている。申請者らは、Mkxが腱形成・恒常性維持に重要な転写因子であることを、ノックアウト (KO)マウスおよびより大型で運動器の研究に有用なKOラットの解析により明らかにした。本研究では、腱疾患の病因解明や治療法確立の基盤となる腱の形成・維持機構を解明することを目的に、腱の形成・恒常性維持におけるMkxの機能についてコンディショナルKOラットを用いた解析を行う。まず、コンディショナルKOラットを作製する上で必要なMkx-floxラットおよびMkx遺伝子座にCreER-T2遺伝子をノックインしたMkx-CreERラットの作製を行った。Mkx-floxはすでに作出・繁殖に成功している。Mkx-CreERラットは、複数種のターゲッティングベクターを準備し、作製を何度か実施したものの目的のラットを作製するには至らなかった。そこでCre遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを用いて導入する手法に変更し、CAGプロモーター下でCre遺伝子を発現するアデノウイルスベクターの作製を行った。また、分子メカニズム解析を行うため、ラットの尾腱およびアキレス腱から腱細胞を取得する方法について検討し、Mkx-floxラット腱細胞を取得することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コンディショナルKOラット作製に必要なMkx-CreERラットの作製を何度も実施したものの、結果的には目的のラット取得に至らなかったため、進捗状況はやや遅延している。Mkx-CreERラット作製を継続しつつ、代替法としてアデノウイルスベクターによるCre導入による手法により進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
MkxコンディショナルKOラットの解析は、Mkx-CreERラット作製を継続しつつ、代替法としてアデノウイルスベクターを用いたCre遺伝子の導入法によりコンディショナルラットを作製し、解析を進めていく。まずウイルスベクターの導入手法を確立し、各ステージによる導入による腱・靭帯の形成・恒常性維持における表現型について電子顕微鏡観察等により解析する。またコンディショナルKO細胞を用いて、腱・靭帯の形成・維持に関連する遺伝子の発現解析、Flag-Mkx遺伝子を導入したChIP解析による標的遺伝子の同定を行い、Mkxの腱形成・維持における分子メカニズムについて解析する。
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Causes of Carryover |
Mkx-CreERラットが取得出来なかったため、ラット関連の費用が減少したことと、3月に情報収集のために参加予定であった学会の参加をコロナウイルス感染拡大の影響で見合わせたため。本経費は、次年度のMkx-CreERラット作製実施とアデノウイルスベクターを用いたコンディショナルKO作製に利用する。
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