2021 Fiscal Year Annual Research Report
人工知能を用いた人工股関節全置換術における最適なインプラント設置に関する研究
Project/Area Number |
19K09558
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
稲葉 裕 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40336574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 英良 国立研究開発法人理化学研究所, 科技ハブ産連本部, チームリーダー (30725338)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工知能 / 人工股関節全置換術 / インプラント設置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人工知能(AI)を用いて様々な術前・手術・術後因子を複合的に解析して人工股関節全置換術(THA)術後の骨盤傾斜変化に影響を及ぼす因子について調査を行った。 対象は、THA術後5年まで経時的な経過観察が可能であった415関節であり、これらの症例の基礎データ・血液検査所見・レントゲン所見などの88種類の変数を解析対象とした。目的変数は術前臥位から術後5年立位までの骨盤後傾の変化量が20°を超える高度骨盤後傾例であり、Random Forest, XG Boost, MLP Logistic回帰などのアルゴリズムを用いて解析した。 高度骨盤後傾例は47例であり、予測モデルとしてはRandom Forestが最も精度が高かった。結果では、このRandom Forestモデルが重視した変数としては腰椎前弯角と術前の大腿骨頚部前捻角の重要度が最も高く、次いでBMIとpelvic tiltの重要度が高かった。DensMAPによる解析では、高度骨盤後傾例は2つの異なる集団に分けられ、1つは術前からすでに骨盤後傾を呈しており、術後経年的に骨盤後傾が進行する群であったが、もう一つは術前の骨盤傾斜は正常であるが、術後経年的に骨盤後傾が進行する群であった。 本研究における新しい知見としては、高度骨盤後傾例に影響する因子として術前の大腿骨頚部前捻角の重要度が高かったという点と、高度骨盤後傾例には2つの異なる集団が存在することが判明した点である。 Decision Treeを用いた骨盤後傾の予測に関しては術前因子だけで予測するモデルに術後1年での骨盤後傾量を加えると予測精度が非常に高くなった。
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