2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of cerebrospinal fluid for the development of scoliosis
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19K09561
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
八木 満 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40338091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小牧 裕司 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 室長代理 (10548499)
中村 雅也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30217898)
関 布美子 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 研究員 (40771407)
宮本 健史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任教授 (70383768)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳脊髄液 / TIME-SLIP MRI / 側彎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期特発性側弯症(AIS)は全人口の3%に及ぶ. この疾患は脊椎の側方への弯曲と脊柱の回旋によって特徴づけられる. 進行すれば整容的な問題に加えて, 呼吸障害や心全を起こす重篤な疾患であり, 本邦では年間に数千件, 米国では約2万件の手術が行われているが,その発症機序は不明である. AISは4足歩行の動物では発症せず, 2足歩行のヒトにのみ生じることや, キアリ奇形では側弯を高率に発症することから, 平衡感覚や姿勢反射などの中枢神経系の異常の関与は明確である. また近年の研究から, 三半規管(蝸牛)の異常や体性感覚の異常が明らかとなっている. 中でもキアリ奇形に見られる脳脊髄液の動態の異常はAISの発症に寄与する可能性が示唆されているが, 脳脊髄液の動態の機能解析や画像的描出は困難である. そこで本研究では側弯症発生における脳脊髄液の動態の寄与を明らかにする.具体的にはTime-SLIP法を用いてAIS患者の脳脊髄液の動態を可視化及び定量を行う. 申請者の所属する教室は国内有数のAISの治療実績があり, 申請者のらは年間におよそ500人の側弯症患者を診察し, 100人以上の患者の手術を行う. このため, 多数の患者の研究参加登録が可能である. またマウスにおいて, Time-SLIP法を確立させることで, マウスの脳脊髄液の動態の解析を可能にして, 後述する中枢神経系に特異的に運動性繊毛を調整する遺伝子の欠損マウスの脳脊髄液動態を観察することで, 側弯症発症に対する寄与を明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は組織特異的Ptk-7遺伝子欠失マウスの作成に関しては Floxed/+ Foxj1-cre マウス× floxed/+ マウスの交配をさらに進め floxed/floxed Foxj1-creマウスを樹立した。新生児期、幼児期及び8週齢以降の成熟期にタモキシフェンを投与しptk-7遺伝子を欠失させ、時期ごとの側弯変形の程度などの表現系の解析を現在行っている。. マウスを用いたTime-SLIP MRIの撮影では本年度、第4脳室より下流での髄液動態の描出が可能となり、マウスにおけるTime-SLIP MRIの撮影方法が確立されたと考える.また今後OPLLモデルマウスであるTWYマウスを用いて、Time SLIP法の撮影を行い、疾患モデルマウスの評価検討を行い、野生型マウスの正常な脳脊髄液の動態との相違を明らかにした。また蛍光微粒子を用いた髄液動態の観察や脳室内・脊柱管内の病理学的観察も行っている. AIS患者に関する解析では研究協力施設の駒沢病院で、AIS患者のTime-SLIP MRIの撮影を月2例ずつ行っており、現時点で成人2名、AIS患者26名の撮影が終了している.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には組織特異的ptk-7遺伝子欠損マウスの表現形の解析を行う予定である。 2019年度までに樹立したTIME-SLIP MRIによる脳脊髄液の動態のイメージングによるptk-7遺伝子欠損マウスに加えて、X線学的検査や、組織学的検討などを行い、また、繊毛の動作に鋭気ようを与えるカテコールアミンや種々の薬物の投与による側彎症の表現系のレスキュー実験を行う。 AIS患者のTime-SLIP MRI撮影では成人及び思春期の健常者での撮影のリクルートを行い、さらに症例数を増やした後にカーブタイプに分けた解析も検討している. 上記解析結果をまとめ報告する。なお、組織特異的ptk-7遺伝子欠失マウスにおいて表現系が得られた時点で論文投稿を予定している.
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Causes of Carryover |
当初計画ではpTK-7 floxedマウスを作成予定で予算の形状を行なっていたが、類似のマウスを英国から供与いただけることになたっためマウスの作成にかかる費用が減額された. また購入予定であったTIME-SLIP MRIの解析ソフトウェアもキャノンメディカルシステムから無償供与いただいたため、支出が減少した。しかし2020年度にはマウスの系統維持に加えて、本研究が組織特異的遺伝子欠損マウスを作成し、かつ遺伝子を出生後にタモキシフェン の投与で欠損させる計画であることから、解析のために多くのマウスが必要となり、マウスの維持費が大幅に増大する見込みである。
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