2020 Fiscal Year Research-status Report
小児大腿骨頭壊死症のIL-6を中心とした分子病態の解明と新規治療法の創出
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19K09563
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
神谷 宣広 天理大学, 体育学部, 教授 (50735876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒柳 元 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80790831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨壊死 / 動物モデル / インターロイキン-6 / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児大腿骨頭壊死症は学童期に発症する難病で大腿骨頭の変形・圧潰により歩行・生活困難となる。また、30歳代から早期の変形性関節症をきたし、股関節痛に生涯苦しむ。病態の発症ならびに進行の機序は不明であり有効な治療法はない。申請者は2009年より本疾患の研究を開始し科研費を活用した。結果、多角的な研究手法(ヒト-動物-細胞)により、①骨壊死モデルマウスの開発(CORR 2015)、②患者関節液中のインターロイキン-6(IL-6)蛋白濃度の高値(JBMR 2015)、③IL-6産生源は骨壊死周囲の関節軟骨である(JBJS Am 2016)、④IL-6欠損マウスで骨壊死後修復が促進する(Bone 2018)ことを報告してきた。本研究は申請者が開発した骨壊死モデルマウスを用い、本疾患の分子病態にIL-6が大きく関与しているか、を問うものである。IL-6レセプターの中和抗体をマウスに投与することにより、壊死の進行が抑制され、かつ、病巣の骨形成が促進した結果を得ている(Osteoarthritis and Cartilage 2019)。さらに、IL-6の上流として、炎症性起因物質(DAMPs)や白血球(特に好中球やマクロファージ)の解析を行った。結果として、骨壊死部には死細胞から放出される炎症起因物質(DAMPs)の一つであるHMGB1が多く存在していることを同定した。さらに、HMGB1が壊死部から周囲の関節軟骨に働きかけて軟骨細胞からのIL-6分泌が促進されている結果を世界に先駆けて新たに報告した(JBMR Plus 2021)。今後さらに、HMGB1ならびにIL-6に関連する本疾患に関与する要因を解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外との研究協力をしながら順調に進めているが、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究資材の輸送に時間を要したことがあった。今年度も、同様の事態が懸念される。
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Strategy for Future Research Activity |
最初の研究計画からの大きな変更は現時点で鑑みる必要はないが、今後、必要になれば考慮する。例えば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で海外との研究協力が遅延する可能性もある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため、渡米による共同研究先へのへ訪問が実施できず、航空費ならびに現地滞在費が発生しなかったため。 また、大学の個人研究費の一部を本研究による経費に充てたため。 今後、コロナウイルス感染症の終息にあわせ渡米を実施する。また、共同研究の実施する場所を適宜変更する。これらによって、次年度使用額ならびに当該年度使用額を使用して研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)