2019 Fiscal Year Research-status Report
I型筋強直性ジストロフィー疾患iPS細胞を用いたリピート伸長メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K09565
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
加門 正義 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第五部, 科研費研究員 (90557224)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疾患iPS細胞 / DM1 / リピート病 |
Outline of Annual Research Achievements |
I型筋強直性ジストロフィー(DM1)はリピート病の一つで、DMPK遺伝子の3’非翻訳領域に存在するCTGリピートが異常伸長することが原因である。最近の研究で、異常伸長したリピートがスプライシング異常を引き起こすことで骨格筋をはじめとした臓器に異常が生じることが明らかになってきているが、リピート自体がなぜ伸長するのかはよく分かっていない。そこで本研究では、DM1患者由来iPS細胞を用いたリピート伸長の細胞モデルでリピートが伸長するメカニズムの解明を行った。 申請者は樹立したDM1-iPS細胞をクローニングし、遺伝背景が同一でリピート長のみ異なるクローンを得た。加えて、長期継代培養後のリピート長解析から、リピートの伸長が抑制されているクローンを発見した。これらのリピート伸長抑制クローンとリピートが伸長するクローンの遺伝子発現をマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析により比較し、リピート伸長抑制候補遺伝子を得た。得られた候補遺伝子をDM1-iPS細胞にノックダウンまたは強制発現させることで、リピートの伸長が抑制されるかを検討した。また、リピート伸長抑制クローンとリピートが伸長するクローンでエピジェネティクスに違いがあるかどうかも検討した。DM1原因遺伝子DMPKのリピート近傍のDNAメチル化状態が変化していることが報告されているため、パイロシークエンサーを用いてDMPKリピート近傍領域のDNAメチル化解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DM1-iPS細胞の樹立と、遺伝背景が同一でリピート長のみ異なるクローンを得ることに成功した。さらに、長期継代培養後のリピート長解析から、リピートの伸長が抑制されているクローンを発見した。マイクロアレイによるクローン間の網羅的遺伝子発現解析によりリピートの伸長を抑制させる候補遺伝子を得た。得られた候補遺伝子をDM1-iPS細胞にノックダウンまたは強制発現させて培養し、Small-Pool PCRによってリピートの伸長が抑制されるかを検討したところ、ノックダウンで伸長を抑制する遺伝子と強制発現で伸長を抑制する遺伝子をそれぞれ一つずつ同定した。エピジェネティクスについても検討したところ、DMPKのリピート近傍のDNAメチル化がDM1-iPS細胞のクローンで健常者iPS細胞に比べて増加していることが確認できたが、リピート伸長抑制クローンとリピートが伸長するクローンでの差はほとんどなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
リピート領域近傍のエピジェネティクス解析において、リピート伸長抑制クローンとリピートが伸長するクローンでの差はほとんどなかったことから、リピート伸長抑制遺伝子として同定した2遺伝子に対しての解析を中心に進める。これらの遺伝子がCTGリピートに直接結合するかどうか検討を行い、リピートの伸長を抑制するメカニズムを明らかにする。また、これらの遺伝子の発現がDM1患者の組織や他のリピート病の患者でどうなっているか解析する。
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