2020 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおける関節破壊進行の遺伝学的機構の解明
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19K09583
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
猪狩 勝則 東京女子医科大学, 医学部, 特任教授 (80343557)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 重症化 / 関節破壊 / polygenic risk score |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設で実施中のIORRAコホート登録患者のうち、DNAの提供に関して書面で同意を得た約3100名のうち3008名の遺伝子多型同定を終えている。このうち発症5年目のSharp/van der Heijde score (SHS) が1544名で得られているが、新たに202名の画像データを取得できた。これら1700名超のGWASデータを元に構築したpolygenic risk score (PRS) を用いて関節破壊の予測因子の解明を行った。まずアジア人による関節リウマチ(RA)の疾患感受性をエンドポイントとしたGWASメタ解析の公開データを元に、PRSを構築した。次にSHS上位1/4を重症群、その他を非重症群と定義し、t検定でPRSの差を検定した。次いでこれらの症例をPRSに基づき5群に分け、それぞれのSHSについて傾向検定を行った。最後にロジスティック回帰分析により、重症化に与える因子の同定を試みた。平均年齢は56歳、86%が女性、85%が抗CCP抗体陽性だった。SHS重将群の中央値は49であり、非重症群の中央値は11だった。2群間でPRSは優位な差があり(P=0.006)、PRSに基づき分けた5群では上位から下位にかけて有意な傾向を示し、PRSが高い群は重症化しやすいことが明らかとなった。多重ロジスティック回帰分析により、女性(P=0.0006、OR 2.53)、HLA-DRB1 shared epitope陽性(P=0.008、OR 1.36)、PRS(P=0.0015、OR 1.27)が有意な重症化因子であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はpolygenic risk scoreを解析を加えたが、有意な結果が得られており、研究計画はおおむね順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患活動性に基づいたPRSも関節破壊重症化因子であることが明らかとなったので、今後構築する遺伝子発現予測モデルにPRSも加味して関節破壊関連因子解析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため学会参加がすべてオンラインとなり、旅費支出が大幅に減ったため。次年度は物品費に充当し、研究計画を加速させる予定である。
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