2019 Fiscal Year Research-status Report
家族性膝蓋骨無形成症の新規原因遺伝子の同定と疾患発症機序の解析
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19K09585
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
高木 潤子 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00319336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出家 正隆 愛知医科大学, 医学部, 教授 (30363063)
吉川 和宏 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 特務教授 (60109759)
高見 昭良 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80324078)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膝蓋骨無形成 / 原因遺伝子 / 歩行障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目標は、今回見出された骨形成異常患者の病態発現が、遺伝子異常に起因するのか、また、その責任遺伝子は何かについて、検出と同定を進める事にあった。 そこで、倫理委員会の承認を得て、家族における病態発現を調べたところ3世代で同様の病態(骨形成異常)を示す者が見出された。そこで、各世代において病態発現のある者とないもの各1名の全6名の了解を得て、全ゲノム解析を実施し、病態発現のある患者に共通する変異遺伝子について解析を行った。その結果新規変異で、病態のある患者だけが持つ変異として22個の遺伝子に絞ることができた。また、この中から、骨格形成に関係すると思われる遺伝子が1個見出された。この変異については、病態を発現する患者のゲノムDNA配列を検査し、確認する事ができた。 この遺伝子は、分泌蛋白をコードしており、細胞内で修飾を受け、成熟型となって細胞外に分泌され、細胞外で機能する事が想像されている。見出した遺伝子変異から、そのコードする蛋白を確認すると、変異遺伝子が構成する遺伝子のコドンが変化し、アミノ酸も変化することが確認できた。さらに、産生されたアミノ酸から構成される分子について構造を確認すると、明らかな構造変化が見出され、変異遺伝子から産生される分子について、細胞内修飾を受ける事ができなくなる可能性が考えられた。そこで、それら遺伝子から産生される分子の修飾状況を確認するため、正常遺伝子と、変異遺伝子それぞれの細胞内発現系プラスミドを構築し、発現細胞の作成を試み、それぞれの遺伝子が導入された細胞系を樹立した。現在これらの細胞系で、発現した蛋白と、分泌蛋白を比較するため複数の抗体を購入して検討したが、市販の抗体で解析に有用な抗体がないため、現在、自ら抗体の作成を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、遺伝子解析により、責任遺伝子を明らかにするところまでを目標としていた。その目標達成において、3世代に亘る患者家族の協力が得られたこと、遺伝子解析が順調に実施できたこと、また、候補となる遺伝子の絞り込みが容易であったことから、責任遺伝子と思われる遺伝子を比較的早く見出す事ができた。そのため、その遺伝子の機能確認のための遺伝子組換え実験も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度では、正常と変異のある遺伝子発現系細胞を用いて、産生された蛋白の修飾と分泌の差を比較し、遺伝子変異による、分子の異常について明らかにする。その際、この分子を検出可能な抗体を作成中で、得られた抗体を用いて解析を実施する予定である。 また、ゲノム編集システムを用いて、遺伝子変異導入マウスを作製し、組織の分化成熟、特に骨格系における変化について解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析および責任遺伝子の確認を順調に遂め、遺伝子機能を確認する目的の遺伝子組換え実験まで、滞りなく進ける事事ができたため、本研究計画書は効率的に進行した。これにより使用額に差が生じた。
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