2021 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来骨芽細胞系細胞の特性および機能解析に基づいた骨形成制御機構の解明
Project/Area Number |
19K09598
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 諭 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (40239439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (10263261)
吉田 清志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50645570) [Withdrawn]
岡本 美奈 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50457008)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 理事・副学長 (60191558) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マウスiPS細胞 / 骨芽細胞分化 / 骨芽細胞系細胞 / 骨再生能 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス iPS細胞株(iPS-MEF-Ng-20D-17)から分化誘導を行い作製した骨芽細胞系細胞 (OLC)の特性について解析を行ってきた。その結果、OLCは骨芽前駆細胞 (MC3T3-E1)を骨芽細胞分化day14まで行った早期段階に比較して、遺伝子発現傾向では後期段階の成熟骨芽細胞 (IDG-SW3) より前段階の骨芽細胞系細胞(MC3T3-E1<OLC<IDG-SW3)と位置付けられる一方で、透過型電子顕微鏡による形態観察所見では、OLCとIDG-SW3は、石灰化に先立ちECMを盛んに分泌しており、同一の段階にある活動型の骨芽細胞と考えられた。また、骨分化にともないOLCはMC3T3-E1と同様にALP、Podoplanin、Sp7を発現し、内軟骨性骨化様分化を呈することを明らかにしていたが、骨芽前駆細胞MC3T3-E1、あるいは成熟骨芽細胞から骨細胞様細胞IDG-SWとは異なり、骨芽細胞と脂肪細胞に分化する骨髄間葉系細胞で確認されているレプチン受容体を高発現する特性をもつことが明らかになった。さらにOLCへの分化誘導時にHoxb遺伝子群が特異的な発現傾向を示すこと、またHoxb遺伝子間に存在する分化初期段階で発現上昇する長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA)を確認した。このlncRNA(X遺伝子)の発現傾向は、Hoxb遺伝子群と同一傾向を示したことから、このX遺伝子について、siRNAによる発現抑制を行ったところ、石灰化結節形成が減弱されるだけでなく、下流の骨分化関連遺伝子を調節していることが示された。そこで骨芽細胞分化を上流で調節すると考えられるX遺伝子のノックアウトマウスを作製し、表現型解析を行ったところ、成長期の骨形成に異常はきたさないものの老齢化にともない石灰化形成が脆弱となる所見が示され、骨の石灰化に関与する新規制御因子である可能性が高いと考える。
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