2019 Fiscal Year Research-status Report
Epidemiological and new kinematic analysis for pathology of knee osteoarthritis
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19K09610
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大森 豪 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (70283009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 寛 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (20838601)
田邊 裕治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60143020)
小林 公一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70296317)
坂本 信 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80215657)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 自然経過 / 発症進行因子 / 長期疫学調査 / 3次元歩行解析 / 早期変形性膝関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
・変形性膝関節症の病態と発症進行因子を解明する目的でこれまで実施してきた新潟県十日町市松代地区における長期疫学調査(松代膝検診)の第9回検診を2019年7月3~4日に行った。総計約600人の検診受診者があり、問診、歩行解析、理学所見、立位X線、下肢筋力、体脂肪、脊柱変形などの評価を行い変形性膝関節症に関する膨大かつ貴重なデータを得ることができた。中でも歩行解析については申請者の研究グループが長年にわたり行ってきた高精度の3次元下肢アライメントシステムや体表マーカーを用いたVICONシステムによる運動解析システムを2013年の検診から導入し、世界で初めて変形性膝関節症に関する大規模な3次元歩行解析を行った。今回の検診でも同様のシステムを稼働させることにより、2016年の検診に続いて6年間の縦断的な歩行解析データを取得できた。 ・7月の第9回検診終了後、本検診で得られたデータを、1979年以降縦断的に8回行ってきた検診から構築したデータベースに加え横断及び縦断解析が可能なデータベースを構築している。、このデータベースから変形性膝関節症の自然経過及び発症、進行に関与する因子を主として機械的因子に注目して解析を続けている。その結果、現在までに早期変形性膝関節症の病態についていくつかの興味ある知見が得られている。具体的には骨棘形成の特徴や関節裂隙の早期変化、脛骨関節面傾斜の変化、大腿骨遠位および脛骨近位の骨形状変化、歩行速度と下肢筋力、下肢アライメントとの関連性、歩行時の膝関節運動変化などである。このうちいくつかの内容については今後学会発表および論文作成が行われる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・本研究課題申請時に記載した、①膝関節の加齢に伴う自然経過と変形性膝関節症の発症・進行因子を解明する目的での第9回松代住民健診を行う。この点に関しては予定通り2019年7月に検診を実施完了することができた。また、②変形性膝関節症の発症進行における膝関節運動変化及び運動学的代償機構の証明については、検診実施後の構築した横断データベースおよびこれまでの検診で得られたデータに今回のデータを加えて構築した縦断データベースより解析を行っており、これまでに早期変形性膝関節症の病態におけるいくつかの知見が得られているがまだ十分ではない。また、データベース自体も完全ではなく、今後さらに解析を進める必要があると考えられる。 ・以上より、現時点での進捗状況はおおむね予定通りに推移していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
・今後は、これまでに松代膝検診から得られたデータから構築した横断データベースおよび縦断データベースをもとに解析を行い、①早期変形性膝関節症の病態、②変形性膝関節症に自然経過、③変形性膝関節症の発症進行因子、について主に機械的因子に注目しながら明らかにしていく予定である。さらに、必要に応じて生体工学的手法を用いたデザインでの実験的研究も検討する予定である。そのうえで、最終的には変形性膝関節症の発症予防や進行抑制に貢献できることを目指す。
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Causes of Carryover |
・昨年実施した第9回松代検診のデータベース(横断データベース)、過去8回の検診のデータベースに今回のデータを加えた新たな縦断データベースの構築整備費用、データ解析に伴う諸経費、今後予定している学会発表に伴う旅費など、論文作成に伴う経費、必要に応じて行う生体力学的手法を用いた実験的研究の必要経費などを踏まえて、次年度も研究費が必要と考えている。
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