2020 Fiscal Year Research-status Report
Novel therapeutic approach for osteolysis focusing on the regulation of cytoskeleton
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19K09617
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
江面 陽一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50333456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 溶骨症 / 先天性骨系統疾患 / 薬物療法 / 骨量減少症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨系統疾患や慢性関節炎、人工関節インプラント周囲などに生じる溶骨症に対する有効な治療法確立のため、その発症病理として破骨細胞の遊走性亢進に着目し、新たな分子的介入法を探索的に検討する。溶骨症治療法開発へ向けた溶骨症モデルとして、アクチン分子重合を制御する細胞骨格制御因子プロフィリン1を破骨細胞で欠損するマウスを利用して以下の検討を行った。まず破骨細胞におけるプロフィリン1欠損の影響を培養系で検証するため、骨髄由来の破骨細胞前駆細胞においてプロフィリン1遺伝子をsiRNAによってノックダウンし、その影響を破骨細胞誘導系において検討した。(1)分化誘導を促進するか(2)分化速度を速めるか(4)細胞融合を促進するか(5)細胞遊走を促進するか(6)骨吸収を高めるかについて検討した。また細胞骨格制御に関わるArp2/3阻害薬を培地に加え、その影響を検討した。つぎに本遺伝子欠損マウスの溶骨症性病態を詳細に解明するため、4週齢、8週齢マウスに加えて20週齢、34週齢マウスの大腿骨および頭蓋骨の形態変化について解析した。さらに治療法開発へ向けた探索として、細胞骨格制御因子を阻害する薬物を5週齢マウスに週2回投与を開始し、3週間経過した8週齢の時点での効果を解析して有効な治療法開発の基盤として解明を進めた。この溶骨性病変の解剖学的広がりと組織学的な病態をX 線計測や組織形態解析によって解明し、破骨細胞の細胞骨格制御の変調が実際に遊走性を亢進させ、結果として広範囲の溶骨症性病変を生じさせることを明らかにしている。最終年度は細胞骨格因子の制御因子への薬物介入によりこの発症を阻止する方策を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下3項目について計画に従って研究を進めている。 (A)培養細胞系の検討。当初の計画に従い、その検討を概ね終了した。すなわち破骨細胞におけるプロフィリン1欠損の影響を培養系で検証するため、骨髄由来の破骨細胞前駆細胞においてプロフィリン1遺伝子をsiRNAによってノックダウンし、その影響を破骨細胞誘導系において検討した。(1)分化誘導を促進するか(2)分化速度を速めるか(4)細胞融合を促進するか(5)細胞遊走を促進するか(6)骨吸収を高めるかについて検討した。また細胞骨格制御に関わるArp2/3阻害薬を培地に加え、その影響として見られる破骨細胞の突起形成の抑制と運動性の抑制の程度について形態学的かつ時系列的にを検討した。 (B)遺伝子欠損マウスの時系列的形態解析を進め、本遺伝子欠損マウスを4週齢、8週齢に加えて20週齢、34週齢時に安楽死させて大腿骨および頭蓋骨の形態変化について3次元的なマイクロCT解析と組織切片の解析をほぼ完了した。 (C)マウス個体へ薬物投与による骨表現型改善度の評価も進めた。一般的な骨吸収阻害薬による治療効果は予想以上に良好であった。さらに望ましい治療法を目指し、細胞骨格制御の阻害薬を同様のプロトコルで投与してその有効性を検証している。 全体として研究計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞特異的プロフィリン1遺伝子欠損マウスの骨表現型を週齢を追って追跡した検討データはすでに集積した。このデータをまとめて破骨細胞の運動性の変調が溶骨性の骨変形に及ぼした影響の意義をまとめて論文化する(B)。また破骨細胞培養系におけるプロフィリン1機能の検討として(A)、すでに破骨細胞の運動性をどのように制御するか細胞突起の形態変化に注目して細胞輪郭の幾何学的解析を時間軸を含めて行っており、細胞突起の形態特徴の記載とその変化速度について有効な数理的解析法を検討してきた。インビボにおける破骨細胞の遊走方向や移動の方向性とその移動距離についての検討は実現していないが、(B)の知見を参考に、インビボイメージングによる解析の可能性についてさらに検討してゆきたい。培養系およびインビボでの薬物投与の影響を解析しつつ、より望ましい溶骨症の治療薬開発の基礎的知見を築くことが目標である。既存の骨粗鬆症治療薬によるインビボ解析はほぼ完了した。新たな治療薬として開発の基盤となりうる細胞骨格制御の阻害因子Xについても、インビボ投与を行っており、一部有効性をしめす結果を得ている。今後はこの薬物について、より望ましい投与方法を検討してゆく。
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Causes of Carryover |
研究計画は順調に進められたが、年度末に実施予定であったマウス個体への薬物投与の計画が事情により延期になり約3万円の未使用分が生じたが、新年度の投与計画ですでに使用している。
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