2019 Fiscal Year Research-status Report
軟骨再生治療への臨床応用を目指した羊膜基質コート担体の線維化抑制効果の解明と検証
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19K09618
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野上 真紀子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30750202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 庄二 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00432112)
牧野 紘士 富山大学, 附属病院, 医員 (50816022)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / 羊膜 / 生体材料 / 細胞外マトリックス / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
合成3次元担体であるPLGAに羊膜由来細胞外基質をコートして作製した軟骨修復用生体材料であるECM-PLGAの軟骨修復促進効果に寄与する生物学的活性メカニズムを解明する研究を行っている。我々が証明を目指している抗炎症作用と線維化抑制効果にかかわるエフェクター細胞として、マクロファージがどのような役割を果たすかを調べる実験を行った。羊膜由来細胞外基質がマクロファージ分化と極性に与える影響を調べるために、ECM-PLGA上にヒト末梢血静脈由来単球からM1-likeに分化誘導したマクロファージを播種し、培養を行い、マクロファージ極性を示す細胞表面抗原(CD68, CD80, CD86, CD163, CD206)の発現や、炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, IL-8, IL-10, TNFα)の発現を解析した。ECM-PLGA上で播種・培養した場合、コントロールである通常の培養皿上での培養時と比較して、マクロファージマーカーの遺伝子発現量がM1, M2に関わらず全体に低く、極性を示すM1/M2比についてもマーカー毎のばらつきが大きく信頼しうるデータが得られなかった。したがってマクロファージの極性を判断するに至っていない。さらに、培養上清中の炎症性サイトカインの分泌量はECM-PLGA群で有意に多い結果であった。ECM-PLGAが炎症タイプ(M1)マクロファージを抗炎症タイプ(M2)に極性転換させて炎症性サイトカインの分泌を減少させることで線維化抑制につながるとする我々の仮説と異なる結果で、ECM-PLGA上で培養することでマクロファージの脱分化などが起こっている可能性が考えられたが検証に至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば引き続き、線維化マーカーの発現レベルについても解析を進める予定であったが、前段階の実験である炎症抑制が証明されなかったため線維化マーカーの解析に進めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト末梢静脈血由来単球には個体差があると考えられるため、より再現性が高いと考えられるヒト単球(マクロファージ)細胞株を用いたECM-PLGA炎症抑制効果を試みる。
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Causes of Carryover |
計画よりやや遅れを生じたため次年度使用額が生じた。実験に必要な試薬や器具の購入、研究成果の発表に使用する予定である。
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