2021 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨再生治療への臨床応用を目指した羊膜基質コート担体の線維化抑制効果の解明と検証
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19K09618
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野上 真紀子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (30750202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 庄二 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (00432112)
牧野 紘士 富山大学, 附属病院, 医員 (50816022)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / 羊膜 / 生体材料 / 細胞外マトリックス / 線維化抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は軟骨修復を目的として生体移植材料である羊膜基質コート担体 (ECM-PLGA) を開発し、臨床応用を目指している。ECM-PLGAが持つと考えられる炎症環境下での関節軟骨線維化抑制効果の実証とメカニズムの解明のために、エフェクターと考えられるマクロファージの極性がどのように関節内線維化活性に関与しているか解析した。 ヒト白血球由来単球細胞株であるTHP-1細胞をM1/M2様マクロファージに分化誘導し、ヒト滑膜由来線維芽細胞 (HSF) と共培養を行ったところ、M2様マクロファージとの共培養で培養上清中のTGF-β1濃度上昇とα-SMA陽性HSF細胞数増加を認めた。この環境でHSFによる線維化マーカー (α-SMA、COL1A1、CTGF) のmRNA発現は亢進し、抗線維化マーカー (MMP-1) の発現は減少した。M2様マクロファージではTGF-β1の発現が著明に亢進していたが、HSFでの発現上昇は見られなかった。M1様マクロファージとの共培養では、これらの変化は見られなかった。 この結果から、関節内線維化病態にはM1ではなくM2マクロファージがより深く関わっていることが示され、THP-1細胞から分化誘導したM2様マクロファージは、培養上清中へのTGF-β1分泌を介して、共培養したHSFをα-SMA陽性細胞に変化させることで線維化活性を促進したと考えられた。マクロファージは局所の環境によって自らの極性を変化させることが知られており、M2からM1へ関節内マクロファージの極性をコントロールすることより軟骨変性進行を抑制できる可能性が示唆された。 今後は、ECM-PLGAがマクロファージの極性コントロールを行っているかどうかの検証と、実際にそれがHSFの線維活性の抑制に寄与しているかどうかをin vitro及びin vivoで解明する予定である。
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Research Products
(7 results)