2019 Fiscal Year Research-status Report
移植腱における腱付着部の構造の解析と至適固定法の解明
Project/Area Number |
19K09626
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
島村 安則 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20452576)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 太一 岡山大学, 大学病院, 助教 (70644384)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | エンテーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
正常な靭帯や腱の骨への付着部の組織は“enthesis”と呼ばれており、近年力学的負荷と生物学的因子がenthesisの発生と発達に寄与していることが明らかになってきている。腱や靭帯を元の骨の付着部へ再固定し、その付着部の状態を検討した研究は散見されるが、移植腱を用いた修復モデルによる研究は乏しく、移植腱におけるenthesis形成のメカニズムはまだ不明である。我々はラビットを用いて、独自の移植腱モデルを作成し、enthesis形成のための至適条件を探索した。 肘関節内側不安定症に対する移植腱による内側副靭帯の再建では、アンカーによる移植腱の固定、もしくは骨孔を作成し腱を骨孔内へ引き抜いて固定する方法が行われる。本研究では骨孔モデルとアンカーモデルを作成、組織学的にenthesisの発生状況を比較した。どちらも腱の骨付着部にはenthesis様の軟骨組織がわずかに形成したが、アンカーモデルでは有意に移植腱の萎縮が見られた。 またenthesisの発生には、骨髄由来の間葉系細胞が重要といわれており、growth differentiation factor 5(GDF5)や、Basic fibroblast growth factor(bFGF)などの成長因子がenthesisの分化、増殖に関与するといわれている。本検討では移植腱モデルにおいて腱固定部位周囲のenthesisの発現がみられた部位の皮質骨の一部を削り、骨髄内の間葉系細胞が腱付着部周囲に誘導されやすいモデルを作成した。その結果さらなるenthesis様組織の形成が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験モデルの改良や手技の安定に時間を要し、評価に時間をかけることができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の計画にしたがい、移植腱モデルを作成し、組織学的評価を行ってきた。次年度は組織学的評価にとどまらず、enthesis部でのPCRを用いた遺伝子発現の変化、免疫染色を用いたタンパク発現の評価をおこなっていく。さらに破断強度試験も併せて行い、enthesis形成のための至適条件を様々な角度から検証していく。
|
Causes of Carryover |
ラットを用いた移植腱モデルの作成がうまくできないケースがみられ、次年度に予定していた以上の数のラットを購入する必要がでてきたため。
|