2020 Fiscal Year Research-status Report
局所の循環障害に着目した特発性大腿骨頭壊死症の病態解析
Project/Area Number |
19K09628
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池村 聡 九州大学, 大学病院, 講師 (20781933)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 骨壊死 / 大腿骨頭 / 血流障害 / 虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「なぜ骨壊死が大腿骨頭に好発するのか」という問いに着目し検討を行っている。ヒトでの骨壊死と同様にステロイド誘発家兎骨壊死動物モデルでは大腿骨近位部に加え大腿骨遠位部(膝顆部)にも骨壊死が好発する。壊死部の血流は途絶しているため、骨壊死の修復には血流の再開が必須である。本年度は骨壊死動物モデルで大腿骨近位部と遠位部における骨壊死巣の修復スピードを病理組織学的に比較検討した。成熟日本白色雄家兎10羽にメチルプレドニン40mg/kgを筋肉内投与し、4週(5羽)、12週(5羽)で犠牲死とした。4週では大腿骨近位部に壊死を認めた家兎3羽の大腿骨遠位部(顆部)にも壊死を認めたが、12週で大腿骨近位部に壊死を認めた2羽の大腿骨遠位部(顆部)には壊死を認めなかった。今回の予備的実験により、顆部の壊死巣は12週では修復されていた可能性があり、両部位の血流の相違(大腿骨近位<遠位)が示唆された。 ヒトでは骨壊死発生部位の詳細を把握する目的で、大腿骨頭壊死症患者71例120股関節のMRI所見を検討した。前後方向の壊死範囲を、体軸に平行な水平断と頚部軸に平行な水平断のそれぞれ骨頭中央スライスで比較した結果、頚部軸に平行な水平断の方が有意に前後方向の壊死範囲が広かった。これは、頚部軸に平行な水平断が、大腿骨頭上方から後方にかけての壊死を捉えている結果であり、正確な壊死の前後方向の評価には頚部軸に平行な水平断が有用であるという事が分かった。また、動物モデルで血流評価を行う部位の検討に関しても有用な情報となった。本研究結果はJournal of Bone and Joint Surgery American Volumeにアクセプトされた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
十分な家兎数で実験できなかったため、統計学的検討ができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
①骨壊死修復反応の検討に関しては、家兎数を増やして検討する。 ②動物モデルでの骨壊死発生率を上げるために、ステロイド(MPSL)に加え、リポポリサッカライド(LPS)を用い、大腿骨近位部と遠位部(顆部)での血管収縮、攣縮関連の蛋白発現を比較検討する。
|
Causes of Carryover |
予定していた研究成果発表と情報交換のための国内・国際学会がCOVID-19により中止もしくはオンライン開催となったため
|
Research Products
(3 results)