2021 Fiscal Year Research-status Report
局所の循環障害に着目した特発性大腿骨頭壊死症の病態解析
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19K09628
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池村 聡 九州大学, 大学病院, 講師 (20781933)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨壊死 / 大腿骨頭 / 血流障害 / 虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「なぜ骨壊死が大腿骨頭に好発するのか」という問いに着目し検討を行っている。基礎的実験としては、昨年度のステロイド誘発家兎骨壊死動物モデルを用いた研究で得られた知見である「大腿骨近位部に比べ遠位部(顆部)の方が壊死巣の修復スピードが速く、両部位の血流に相違がある」という点と、既知の「壊死巣修復には年齢による相違がある(小児はより修復が早い)」という点を考慮して、今年度は大腿骨顆部の骨壊死修復スピードを週齢の異なる骨壊死マウスモデルを用いて比較検討した。 対象は雄マウス24匹(6週齢12匹、12週齢12匹)で、右大腿骨に外科的骨壊死を誘導し、2週後、4週後にそれぞれ6匹ずつ評価を行った。右大腿骨を骨壊死群、左大腿骨をコントロール群とし、週齢、評価時期により4群に分けて評価した結果、骨壊死が生じた大腿骨顆部のマイクロCT解析では、6週齢マウスにおいて2週後よりも4週後の群でBone Mineral Density (BMD)が有意に上昇していた。一方12週齢のマウスでは2週後と4週後で有意な差がなく、より若年であるほど骨壊死誘導からの骨修復が盛んな可能性が示唆され、週齢による骨壊死修復スピードの相違があることが確認できた。 臨床的研究では、診断に関して「大腿骨頭壊死症患者のMRI所見」、治療に関しては大腿骨頭壊死症を含む「股関節疾患患者の人工関節置換術後成績」がそれぞれ、Journal of Bone and Joint Surgery American Volume、Journal of Orthopaedic Surgery and Researchにアクセプトされており掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎的研究に関して、十分な動物数で実験できなかったため、統計学的解析ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①基礎的研究に関しては、動物数(家兎・マウス)を増やして検討する。 ②臨床的研究に関しては、造影MRIが施行された骨壊死患者における大腿骨頭の血流評価を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大により2021年度全体を通して、予定していた実験計画が遅延したことや出席予定であった国際学会が中止、またはオンライン開催となったため、旅費も使用しなかったしたため。次年度は積極的に実験を行い研究成果発表のための学会に出席する予定である。
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Research Products
(3 results)