2023 Fiscal Year Research-status Report
局所の循環障害に着目した特発性大腿骨頭壊死症の病態解析
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19K09628
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池村 聡 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20781933)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨壊死 / 大腿骨頭 / 血流障害 / 虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「なぜ骨壊死が大腿骨頭に好発するのか」という問いに着目し検討を行っている。既に骨頭が圧潰し手術を行った特発性大腿骨頭壊死症患者の単純、造影MRI所見、そして摘出骨頭の病理所見を対比させた。壊死した骨組織は血流がないため造影効果を認めず、非造影域と病理組織学的壊死部の範囲は一致していた。骨頭中央から前方にかけて造影効果がない、すなわち虚血に至っている症例が多く、大腿骨頭の中でも虚血(骨壊死)に至る部位的相違があり、大腿骨頭のより詳細な血行動態に着目することが、骨壊死が大腿骨頭に好発する原因を研究する一助になり得ることが示唆された。単純および造影MRI所見と病理組織学的所見を対比させた本研究結果を2022年Scientific Reportsに報告した(Ikemura S, et al. The influence of bone marrow edema for the assessment of the boundaries of necrotic lesions in patients with osteonecrosis of the femoral head)。 また大腿骨頚部軸に沿ったMRI水平断像と一般的に撮像する体軸に沿った水平断像を比較検討した結果、大腿骨頚部軸に沿った水平断像の方がより正確な前後方向の壊死範囲を同定できることが分かった。更に大腿骨頚部軸スライスで得られた壊死範囲は体軸スライスで得られた壊死範囲よりも関節予後と相関することが判明し、研究成果を2022年Journal of Bone and Joint Surgery American Volumeに報告した(Ikemura S, et al. The Discrepancy in the Posterior Boundary of Necrotic Lesion Between Axial and Oblique Axial Slices of MRI in Patients with Osteonecrosis of the Femoral Head)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度もコロナによる行動制限があり基礎的研究(動物実験)が十分に行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究ではステロイド誘発骨壊死家兎及びマウスモデルを用いて大腿骨近位部(骨頭)と遠位部(膝部)の骨壊死発生率と血管新生因子発現を検討して部位的血流の相違を比較する。臨床的研究に関しては、大腿骨頭壊死症患者と骨壊死以外で造影MRIが施行された両者の造影MRI所見を比較し骨頭栄養血管の血流動態の検討を行う。また、大腿骨頭壊死症に対する外科的治療法の1つである人工関節置換術の周術期合併症を調査し、その予防法について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナによる行動制限で実験ができなかった
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