2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of low-cost and non-invasive diagnostic technique using light
Project/Area Number |
19K09633
|
Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
須田 廣美 (木村―須田) 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (00574857)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 恒 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (00457574)
小田 久哉 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (60405701)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 近赤外分光法 / 赤外分光法 / ラマン分光法 / 骨質 / 関節 / 光ファイバーケーブル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は超高齢化社会に突入し,要介護者数が増加の一途を辿っている。特に都市部では,老々介護の世帯数が増加している。このような背景から,健康寿命を意識した運動機能の維持,特に老化に伴って発症する変形性膝関節症の早期発見,早期治療が課題となっている。現在,変形性膝関節症の診断には単純X線やMRIが用いられている。しかしながら,それぞれ被曝,ペースメーカー利用者が計測できない,装置が高価,利用環境が限られるなどの問題を抱えている。本研究では,光を用いた非侵襲的かつ低コストで計測できる関節診断技術の開発を目指している。令和元年度は,装置構成の基本光学設計を行い,励起光照射部,信号光の受光部と分光装置への導入部の仕様を決めた。令和2年度は,想定するラマン波長成分の高S/N検出を実現する励起光レーザーおよび励起光導入の光ファイバーの組み合わせを実験から決めた。また,当該光ファイバーを用いて,近赤外分光装置によるサケ・マスの椎骨と関節の評価を行った。令和3年度は,ラマン散乱光検出部の最適化を,励起レーザー光出力調整とノイズ光除去フィルター選定によって実施した。その結果,被測定物として用いたヒドロキシアパタイト(標準試薬)のラマンスペクトル観測に成功した。近赤外分光装置については,光ファイバーケーブルの接続有無で得られたヒドロキシアパタイト,コラーゲン,プロテオグリカン(いずれも標準試薬)のスペクトルを比較しながら装置の精度について評価した。また,近赤外分光法ならび中赤外分光法により得られたサケ・マスの椎骨と関節のスペクトルについて比較検討した。その際,得られた成果の一部は,国内および国際学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,1)近赤外励起ラマン分光装置に必要な部品の調達に時間を要したこと,2)光ファイバー内部のガラス由来のラマン散乱の除去に時間を要していること,3) COVID-19感染防止対策のため,研究時間や研究室の利用,研究の打ち合わせに制限を受けたことから,やや遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,1)から4)の方針で研究を進める。 1) 近赤外励起ラマン分光装置については,皮膚を模擬した試料を用意し、主に、信号光受光部の最適化によってスペクトル観測を行う。 2) 市販の顕微ラマン分光装置を用いて得た骨や関節のスペクトルと光ファイバーケーブルを使用して得られた骨や関節のスペクトルを比較しながら,構築した近赤外励起ラマン分光装置の精度について評価する。 3) 近赤外分光装置については,光ファイバーケーブルを用いたin vivo,in vitro測定により得られたサケ・マス,ラットの骨や関節のスペクトルを解析し,中赤外分光法(in vitro)により得られたサケ・マス,ラットの骨や関節のデータと比較しながら,光ファイバーケーブルを接続した近赤外分光装置の精度について評価する。 4)近赤外励起ラマン分光装置と近赤外分光装置から得られた骨や関節のデータの相関について検討する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染防止対策のため,研究時間や研究室の利用,研究の打ち合わせに制限を受けたことなど,研究環境を十分に確保することが困難であったこと,同様の理由により装置開発に必要な部品入手ができなかったなどが原因となって次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は,実験器具や試薬など消耗品の購入,部品の購入,研究打ち合わせに必要な旅費に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)