2020 Fiscal Year Research-status Report
軟骨・半月板の3D MRI解析による変形性膝関節症の病態解明
Project/Area Number |
19K09643
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大関 信武 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (10755359)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 半月板 / MRI / 半月板欠損 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者の膝MRIを3次元構築したのち、内側および外側半月板の体積や、半月板逸脱の面積および体積について解析を行った。これらは手術症例であり、関節鏡における軟骨所見を全例で記録している。関節鏡では大腿骨・脛骨プラトーを内側、外側に分け、さらに9つの小領域に区分し、合計45か所の領域における所見を記録しており、3D MRIでも同様の区分で軟骨面積率を自動算出した。特に症状とも関連がある中央領域に関して、関節鏡所見と軟骨面積率の関連性を見出すことができ、3D MRIの妥当性を示すことができた。また、半月板が被覆していない領域での軟骨損傷の程度がひどくなることも、軟骨面積率を利用して示すことができた。変形性膝関節症の軟骨変性の進行について、半月板の被覆が重要であることを示せたことは、今後変形性膝関節症の病態を解明するにあたり重要な知見である。 また、超音波にて人工膝関節全置換術における滑膜を観察し、正常例と比較して肥厚、血管増生が認められることを検証できた。滑膜炎が変形性膝関節症の重要な病態の一つであり、超音波で非侵襲的に診断できることは有用であり、今後はさらに3D MRIにおける軟骨面積率、半月板被覆率、半月板体積などとの関連を調査し、軟骨や半月板と関節内の炎症所見の病態解明につなげたいと考えている。 ブタ正常膝および半月板前節切除膝の3D MRIおよびT2 mapping解析により、半月板切除後に一部再生してくる半月板は、正常半月板部分と比較してT2値が高く、質的に劣っているという結果が得られている。超音波における所見と、軟骨の質的評価の関連性についても検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者では50膝の3D MRI解析を行い、関節鏡所見と対比することができ、症状とも関連すると考えられる中央領域での関連性を検証することができたことから、おおむね順調に研究が進んでいるといえる。変形性膝関節症の超音波所見も検証を進めているところであり、滑膜が肥厚・血管増生している炎症所見を捉えることができた。今後はこれまで構築した3D MRI画像と超音波所見とを対比していく作業や、ブタ膝で証明することができた半月板の質的評価であるT2 mapping解析との対比を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
半月板損傷や高位脛骨骨切り術など手術を行った変形性膝関節症患者の膝に関して、3D構築して算出した内側・外側半月板の体積、半月板逸脱の面積・体積と、超音波所見との対比を検証していきたい。これらの関連性を示すことで、変形性膝関節症における半月板の関与を解明することができる。また、軟骨面積率については現在は大腿骨・脛骨プラトーを内側、外側に分けた4つの領域と大腿骨滑車部分を合わせた5ヵ所の領域について、さらに9つの小領域に区分し、合計45か所の領域における軟骨面積率を自動算出しており、これらの結果と超音波所見を対比することで、変形性膝関節症の軟骨変性と関節内の炎症についての関連性を示すことができ、変形性膝関節症の病態解明につなげていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
学会参加で計上していた旅費が、他の予算で執行できたため、次年度使用額が生じた。
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