2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスの泌尿器癌モデルを用いた膜結合型タンパクの機能解析と新規治療法の確立
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19K09674
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
向井 尚一郎 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10315369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賀本 敏行 宮崎大学, 医学部, 教授 (00281098)
片岡 寛章 宮崎大学, 医学部, 教授 (10214321)
藤井 将人 宮崎大学, 医学部, 助教 (10794373)
寺田 直樹 宮崎大学, 医学部, 講師 (60636637)
永井 崇敬 宮崎大学, 医学部, 医員 (60739994)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 細胞膜結合型セリンプロテアーゼ / 細胞膜結合型セリンプロテアーゼ制御因子 / 腎細胞癌 / 細胞増殖能 / 細胞遊走能 / ヒト化HGF-SCIDマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
METの高発現とHAI-1、2の発現低下を確認しているヒト腎癌細胞株(786-O)を通常の6-10週のSCIDマウスおよびヒト化HGF-SCIDマウスの皮下に移植し、経時的な腫瘍増大速度を比較したところヒト化HGF-SCIDマウスにおいて増大速度が速いことが確認された。このことから、METを発現しているヒトの腎細胞癌株は、生体内においてマウスHGFよりヒトHGFによって、より強く増殖能が亢進することが明らかとなった。次に、TET-on systemを用いた恒常的HAI-2強制発現ヒト腎癌細胞株(786-O-HAI2)を作成し、ヒト化HGF-SCIDマウスの皮下及び骨髄中に移植した。HAI-2の強制発現とMET阻害剤による増殖抑制効果について検証中である。MET、マトリプテース、KLK5、HAI-1、2の発現を確認しているヒト膀胱癌細胞株(RT-4、KU-1)を用いて、HAI-2を一過性にノックダウンすることによる影響を検証した。その結果、RT-4ではpro-HGF依存性に細胞増殖能、遊走能が亢進したが浸潤能は同等であった。より悪性度の高いKU-1を用いた検討ではHAI-2の一過性ノックダウンにより、pro-HGF依存性に細胞増殖能、遊走能、浸潤能の有意な亢進を確認した。現在恒常的にHAI-2をノックダウンしたKU-1の細胞株をSCIDマウスおよびヒト化HGF-SCIDマウスの皮下に移植し、増大速度を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、やや遅延した原因の一つは、ヒト化HGF-SCIDマウスの繁殖が予想以上にうまくいかなかった点である。マウスを管理する人員を増やし、基本的な手技、管理方法をより丁寧に行うことで少しずつ改善し、現在は実験の遂行に支障がないレベルでマウスを飼育できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在検証中の内容であるが、骨転移モデルでは、HAI-2の発現量をコントロールし、骨転移の形成能や膜結合型セリンプロテアーゼ、METのリン酸化の変化を解析する。またさらに、骨転移に対して、HAIのインヒビタードメインタンパクの投与による治療効果を検証する。MET阻害剤との併用治療の効果も確認する予定である。膀胱癌に関しては、膀胱癌細胞株の同所移植を行い、マウスモデルを作成する。HAI-2の発現調節による転移形成能を比較解析し、さらに形成された転移組織内の発現分子を解析し、転移巣の形成・維持に各分子がどのように寄与しているか検討する予定である。
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