2019 Fiscal Year Research-status Report
NOS uncouplingを標的とした新規過活動膀胱治療薬開発にむけた基礎研究
Project/Area Number |
19K09675
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
赤井畑 秀則 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 淳也 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00769606)
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
石橋 啓 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90347211)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性虚血 / 過活動膀胱 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
過活動膀胱の罹患率に男女差はなく、男女共通の要因について検討された。その結果、動脈硬化による慢性虚血が過活動膀胱の病因であると指摘された。膀胱は、蓄尿時の壁内血管圧迫と排尿後の圧迫介助により虚血再灌流が繰り返されている。一方、NOを生成する内皮型NOSは血管組織防御作用に働く酵素であるが、補酵素であるBH4が不足するとアンカップリングが発生し、活性酸素が増加する。その活性酸素は血管内皮を障害し、動脈硬化を進行させる。内皮型NOSアンカップリングを引き起こすBH4不足は、慢性虚血による過活動膀胱にも寄与する可能性がある。本研究は、慢性膀胱虚血ラットモデルを用いて、慢性虚血が膀胱内BH4合成経路・内皮型NOSアンカップリングに与える影響と、BH4経口投与がラットモデルの下部尿路機能に及ぼす変化を評価することを目的としている。そこで、16週齢Sprague-Dawley(SD)系雄性ラットにバルーンによる総腸骨動脈内皮傷害と8週間の高脂肪食飼育を施して動脈硬化を発生させ、膀胱を慢性虚血とした。そして、そのラット群に膀胱内圧測定を施行し、その後膀胱を摘出して膀胱平滑筋条片を用いた等尺性張力実験・膀胱の組織学的評価を行った。その結果、慢性膀胱虚血ラットモデルでは膀胱容量・一回排尿量が低下していることが証明できた。また、膀胱平滑筋条片の収縮力が低下していた。膀胱の組織学的評価では、慢性膀胱虚血ラットモデル膀胱では筋層の線維化が進行し、また、膀胱動脈が狭窄していることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性膀胱虚血ラットモデルを用いて、慢性虚血が膀胱内BH4合成経路・内皮型NOSアンカップリングに与える影響と、BH4経口投与がラットモデルの下部尿路機能に及ぼす変化を評価するにはラットモデル作成技術の安定化が最重要である。その作成を本年度安定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性膀胱虚血ラットモデルを用いて膀胱のBH4合成経路・内皮型NOSアンカップリングに関わる酵素(DHFR、SR、GCH-1など)の遺伝子発現・蛋白発現を解析する。そこから慢性虚血に起因する下部尿路機能障害の新規治療戦略・診断マーカーの探索を行う
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Causes of Carryover |
本年度には慢性膀胱虚血ラットモデルの下部尿路の機能・組織変化を詳細に評価することができた。次年度以降はその膀胱を用いて膀胱のBH4合成経路・内皮型NOSアンカップリングに関わる酵素(DHFR、SR、GCH-1など)の遺伝子発現・蛋白発現を解析する。
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