2019 Fiscal Year Research-status Report
転写超保存領域T-UCRを標的とした去勢抵抗性前立腺癌の新規診断・治療法の開発
Project/Area Number |
19K09691
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松原 昭郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (10239064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亭島 淳 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (20397962)
安井 弥 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (40191118)
林 哲太郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (60612835)
井上 省吾 広島大学, 病院(医), 講師 (90457177)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺がん / 非翻訳RNAである転写超保存領域(T-UCR) |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、治療困難な状態である去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の生物学的メカニズムの解明と薬剤耐性の克服を目標に研究を行なっている。本科研では、非翻訳RNAである転写超保存領域(T-UCR)の発現異常に着目した研究を行なっており、私たちの前立腺癌コホートにおいて前立腺癌部と非癌部でのT-UCRの発現解析を行い、Uc.4+, Uc.63+, Uc3+が前立腺癌で高発現することを確認した。次に、前立腺癌細胞株の22RV1とC42にUc.4+, Uc.63+, Uc3+を導入した強制発現株を樹立した。現在、Uc.4+, Uc.63+, Uc3+強制発現株のRNAシークエンスを行なっており、前立腺癌特異的なT-UCRの癌悪性化や去勢抵抗性獲得のメカニズムを明らかにできると考えている。さらにTUBB3、KIFC1、PCDHB9の抗アンドロゲン療法抵抗性の症例や、抗がん剤耐性の症例で高発現していることを確認した。加えて、私たちが樹立した去勢抵抗性前立腺癌細胞株や、ドセタキセルやカバジタキセル耐性の前立腺癌細胞株においてもTUBB3、KIFC1、PCDHB9は高発現しており、去勢抵抗性獲得へのメカニズムの解析を行い、Int J Mol Sci. 2019やProstate. 2019に論文報告している。同論文ではTUBB3、PCDHB9の新規診断マーカーとしての有用性だけでなく、新規治療標的としての有用性を報告しており、T-UCRの関与も含めて去勢抵抗性前立腺がんの生物学的メカニズムの解明と薬剤耐性の解明に寄与できるように研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、臨床情報が明らかになっている前立腺がんおよびCRPC臨床検体とその血清を収集し、RNAを抽出してまとめてT-UCRの解析が行えるように準備している。そのため、計画していたデジタルカウント遺伝子発現解析を用いたCRPC関連T-UCRの同定の研究の進捗は遅れている。一方で、薬剤耐性(ドセタキセル、カバジタキセル)の前立腺癌細胞株を作成し、薬剤耐性の去勢抵抗性前立腺がんのモデルとして遺伝子発現解析を行い、薬剤耐性に関与するTUBB3の意義を解明して論文報告を行った。これら薬剤耐性前立腺癌細胞株と親株でのT-UCRの発現変化は、研究目的であるCRPC患者に有効な治療薬の選択や薬剤耐性を克服する新規治療法の確立に貢献できる方法と考え、細胞株からのT-UCRの研究も進める方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
私たちは複数の前立腺癌細胞株から薬剤耐性(ドセタキセル、カバジタキセル)前立腺癌細胞株を作成した。これらは臨床的に問題となっている薬剤耐性の去勢抵抗性前立腺癌の新規治療法確立への良い研究モデルとも考えられる。これらの遺伝子発現解析とT-UCRの発現変化の解析を行い、CRPC患者の薬剤耐性を克服するT-UCRを用いた新規診断マーカーや新規治療法の確立に向けて研究に邁進する予定である。
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