2019 Fiscal Year Research-status Report
癌抑制遺伝子FLCNの代謝および膜輸送制御に着目した腎腫瘍化機構の解析研究
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19K09694
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
蓮見 壽史 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40749876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (00260787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性腎癌 / BHD症候群 / FLCN/FNIP1/FNIP2複合体 / 細胞内輸送 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
HEK293細胞にて、東北大学・福田光則博士(研究協力者)から供与を受けたマウス58種類のRab GTPアーゼの発現プラスミド(Rab GTPアーゼ発現パネル)と、FLCNを共発現させ、免疫沈降法にて蛋白-蛋白結合を調べたところ、複数のRab GTPアーゼがFLCNと結合することが分かり、さらにその結合の強さがRab GTPアーゼ毎に異なることが明らかとなりました。 昆虫細胞用にコドン最適化を行った配列を用いて、pFastBacDualバキュロウイルス発現系でFLCN/FNIP1複合体の発現を行い、ゲル濾過による大量精製に成功しました。そこで、神戸大学・仁田亮博士(研究協力者)の研究室にてネガティブステイン法を行い、比較的均一なFLCN/FNIP1複合体が得られていることが確認できたため、大型放射光施設Spring8にて、クライオ電子顕微鏡の撮影を行いました。しかしながら、クライオ電子顕微鏡にて、FLCN/FNIP1複合体の電顕像は得られず、その後、BS3含めた架橋剤などによる条件検討を繰り返しましたが、残念ながら、FLCN/FNIP1複合体の電顕像は得られませんでした。 また、pRosa26-Destを用いた、腎臓特異的Rab F-bp発現マウスが完成し、サザンブロッティングでRosa26プロモーター下の適切な位置にノックインされていること、Rab F-bpがマウス腎臓で発現していることを確認することができました。そこで、腎臓特異的Rab F-bp発現マウスと、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスの交配を行いました。その結果、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスに発生する多発嚢胞様腎の縮小は観察されず、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスの生存期間への影響も観察されませんでした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rab GTPアーゼ発現パネルを用いた蛋白-蛋白結合実験にて、様々なRab GTPアーゼがFLCNと結合することに明らかとなり、今後はそれらのFLCN結合RabGTPアーゼについて、その結合の生理的意義を調べることが重要であると考えられます。 クライオ電子顕微鏡にて、pFastBacDualバキュロウイルス発現系にて得られたFLCN/FNIP1複合体を観察することができませんでした。そこで今後は、他の発現系を用いる、他の既知の結合蛋白を共発現させるなどして、複合体のさらなる安定化を行う必要があると考えられます。 また、腎臓特異的なRab F-bpの発現は、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスに発生する多発嚢胞様腎や、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスの生存期間へ影響を及ぼさなかったために、腎臓特異的なRab Fの発現が、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスに発生する多発嚢胞様腎や、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスの生存期間へ影響を及ぼすか調べる必要があると考えられます。現在、腎臓特異的Rab F発現マウスのキメラマウスが得られております。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のRab GTPアーゼがFLCNと結合すること、及びその結合の強さがRab GTPアーゼ毎に異なることが明らかになりましたので、現在、それらの結合の生理的意義を、超解像度顕微鏡を用いて調べております。具体的にはアミノ酸飢餓などに栄養状態を変化させることにより、Rab GTPアーゼとFLCNの共局在がどのように変化するかを中心に観察しております。 また、pFastBacDualバキュロウイルス発現系から得られたFLCN/FNIP1複合体を、クライオ電子顕微鏡にて観察することができなかったため、FreeStyle293発現系によるFLCN/FNIP1複合体の蛋白発現とその精製を開始しております。現在、コンストラクトが完成し、安定発現細胞株の作成を行っております。加えて、FLCNやFNIP1に結合することが報告されているAMPKやGABARPなどのFLCN/FNIP1複合体への取り込みを行い、複合体のさらなる安定化を行います。 腎臓特異的なRab F-bpの発現が、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスに発生する多発嚢胞様腎や、生存期間へ影響を及ぼさなかったことから、同様の手法で得られる腎臓特異的Rab F発現マウスと腎臓特異的FLCNノックアウトマウスの交配を行います。現在、腎臓特異的Rab F発現マウスのキメラマウスが得られておりますので、今後、germline transmissionを起こしたマウスを、腎臓特異的FLCNノックアウトマウスと交配させる予定です。
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