2019 Fiscal Year Research-status Report
PDE5阻害薬タダラフィルは腎虚血再還流障害の革新的治療となるか?
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19K09711
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荒木 元朗 岡山大学, 大学病院, 講師 (90467746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城所 研吾 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50435020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎虚血再還流障害 / 腎移植 / 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎虚血再還流障害は移植腎の予後に影響を与える重大な病態であるが、有効な治療法はない。我々はこれまで、好中球がその組織障害において中心的役割を担うことを明らかにしてきた。虚血再灌流後のリアルタイムな好中球動態を解明するべく、本研究に先立ち、多光子レーザー顕微鏡を用いた好中球のin vivoリアルタイムイメージングに成功した。これは腎臓内の好中球の評価のため毎回マウスをsacrificeして免疫染色で好中球を確認していた従来の手法を考えると画期的な実験方法である。また従来の手法では同じマウスの好中球浸潤を時系列で観察することは不可能であった。 イメージングでは、内皮型一酸化窒素合成酵素-ノックアウト(eNOS-KO)マウスではコントロール群と比べ、より強い障害を認めた。そこで一酸化窒素の効果を増強する血管拡張作用をもつタダラフィル(Td)に着目した。本研究では、Tdの腎虚血再灌流の新しい治療薬としての有効性を実証する。 本年度の研究では、in vivoリアルタイムイメージングを用いて、C57BL/6マウス、eNOS-KOマウスにおけるTd内服が腎虚血再灌流後の好中球集積に与える影響を検討した。 。 eNOS-KO群において、好中球集積がより顕著であり、双方の群で好中球集積の減少を認めた。今後は、摘出腎のフローサイトメトリーを行い、好中球の定量評価及び、採血、免疫染色、リアルタイムPCRを用いて、Tdの腎保護作用の検討を進める。腎虚血再灌流障害は腎移植のみならず腎癌の腎部分切除術における腎虚血や、急性腎不全と同一の病態であり、他疾患への応用・発展も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアルタイムイメージングを行い、生体マウス腎臓内での好中球動態を経時的に観察する事ができた。具体的には、再灌流直後に虚脱していた糸球体が膨大し、数分後より糸球体内に好中球の流入が始まり、増加していく様子を捉えることができた。また、24時間後には、傍尿細管血管をローリングする好中球を確認した。eNOS-KOマウスではC57BL/6マウスに比べ好中球集積をより強く認め、Td内服により両群において集積の減少を認めた。研究は当初の計画通りに、概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
リアルタイムイメージングで得られた知見を踏まえ、引き続きC57BL/6Jマウス、eNOS-KOマウスの腎虚血再灌流モデルを用いて、Tdの腎保護作用を検討する。具体的には、採血によるBUN、クレアチニンによる腎機能の比較、フローサイトメトリーによる腎組織内の好中球数の比較、免疫染色を用いた尿細管障害、リアルタイムPCRを用いて、腎障害時に発現するICAM-1、VCAM-1の発現強度を比較・検討する。
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Causes of Carryover |
二光子励起顕微鏡の使用制限があり当初より二光子励起顕微鏡の使用頻度が少なかったため。引き続き実験は継続するため次年度予算は使用予定である
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Research Products
(1 results)