2020 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞遺伝子解析によるヒト造精機能障害の分子機構の解明
Project/Area Number |
19K09712
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白石 晃司 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00535255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 哲仁 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60596823)
大川 恭行 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80448430)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 無精子症 / 単一細胞トランスクリプトーム解析 / テストステロン / エストラジオール |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト精巣から得られた精祖細胞を用いた単一細胞トランスクリプトーム解析を進めている。非閉塞性無精子症(NOA)症例20例と精子形成が正常な閉塞性無精子症症例5例を対象にRNA-seqおよびgene ontology analysis, pathwaymapの作成を行った。NOAにおいてはその遺伝子の発現パターンより1)DNA合成低下型、2)ホルモンレセプター低下型、3)ストレス応答低下型、4)体細胞型、にクラスター分類が可能であった。同時に行った精巣内fluidを用いた精巣内テストステロンおよびエストラジオールの測定にてアロマターゼの過剰発現も造精機能障害に関与することが判明し、上記のクラスター2、つまりホルモンレセプターの発現に関連していることが判明した。各クラスター別の造精機能障害に対する治療法の確立が可能であることも示された。例えばレセプター発現低下型であればアロマターゼ阻害剤の使用により精子形成が誘導可能であったことを報告した(Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 2021)。尚、形態学的に精巣構成細胞を識別しその回収を行い単一細胞トランスクリプトーム解析を行うといった手法は我々のオリジナルな方法であり、Journal of Obstetrics & Gynecology Researchにそのmethodologyを紹介した。さらにNOAについていくつかの明らかに発現が低下している遺伝子、逆に発現が亢進している遺伝子についても今回のRNA-seqのデータベースから把握できており、今後の研究の基礎データとして保管している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精祖細胞のクラスター分類が可能であったことよりさらにn数を増やして解析し、確固たるデータとして提唱する必要がある。またアロマターゼ発現異常との関連を追及するために各クラスター毎の症例数は少なくなったため、その意味でもさらにn数を増やして解析する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらにn数を増やして解析しつつ、アロマターゼ阻害剤を用いたNOA治療を行いその精巣からの遺伝子発現の変化も検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
全体的にはコロナ禍で症例数の停滞があった。したがって本年度行ったトランスクリプトーム解析の一部を、令和3年度に変更したため、キット等の購入費について未使用額が生じ、令和3年度の解析に使用する予定である。また旅費についても学会参加等が極端に減ったため、コロナの収束があれば令和3年度に使用したい。
|