2020 Fiscal Year Research-status Report
精嚢分泌タンパク質による精子膜ステロールレベル調節を介した受精能獲得制御
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19K09721
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
吉田 薫 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 教授 (70398973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 学 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60301785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精子 / 糖衣 / 精嚢タンパク質 / 卵管 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内受精であるほ乳類に特徴的な受精能獲得において、精子膜からのコレステロールの流出がその契機になることは周知の事実であるが、その生理的な調節メカニズムは不明である。申請者らはこれまでに、精嚢分泌タンパク質が積極的に精子膜のコレステロール量を保持することを明らかにしている。この作用が異所的な受精能獲得を抑制すると考えるが、その分子メカニズムについて全貌は明らかになっていない。本研究では、精嚢分泌タンパク質による精子膜ステロールレベル調節の制御を介した精子受精能獲得の調節機構解明を最終目標とする。具体的には主にマウスを対象とし、(1)精嚢分泌タンパク質と精子最外層グリコカリックスの相互作用、(2)精嚢分泌タンパク質の精子からの除去機構、(3)精嚢分泌タンパク質以外の生理的な精子膜ステロールレベル調節因子の探索を行い、その生理的作用を明らかにする。R2年度は(2)について、子宮卵管接合部(UTJ)を短時間培養し、精巣上体精子の卵管接合部への結合を直接観察した。観察には生細胞ラベル用蛍光色素を検討したが、検討した色素は受精能獲得した精子はラベルできないことがわかり、更に検討が必要であることがわかった。観察のために組織の透明化にも取り組んだが、こちらは可能であることがわかり、精子膜を免疫染色することで結合状態への関与を立体的に検討することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精嚢分泌タンパク質と精子最外層グリコカリックスの相互作用を検討する水晶発振子マイクロバランス法と透明化UTJ組織の観察には分担者施設所有の装置を使用することも予定していたが、コロナ禍による入構制限が続き実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度に進めることができなかった、精巣上体精子膜画分の蛍光ラベルとHPLCによるプロファイル分析、またはレクチンアレイを受託で行う予定である。これにより重要な糖鎖を決定し、次にこの候補糖鎖とSVS2との結合を水晶発振子マイクロバランス法および間接蛍光抗体法を用いた精子染色の候補糖鎖による競合阻害実験にて確認する。DEFB22ノックアウトマウスによる実験は時間の制約もあり省略する。卵管接合部の短時間器官培養は確立できたので、精子の結合と結合へのSVS2の関与、および離脱精子からのSVS2、DEFB22およびコレステロールの除去について、各分子の蛍光物質による直接ラベル、間接蛍光抗体法あるいはウエスタンブロッティングにより検討する。また、SVS2由来ペプチドを合成し、上記アッセイを行って、SVS2のステロールレベル調節部位を特定する。さらに、精子膜ステロールレベル調節因子の探索として、精子離脱前後の培地あるいは卵管上皮、培養細胞抽出物を比較することで候補を選定し、同定を試みる。
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Causes of Carryover |
緊急事態宣言による一時研究活動の停止を含む、行動の制限に伴い、実施できなかった共同研究施設を用いた実験部分について、R3年度に実施するため。
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