2019 Fiscal Year Research-status Report
前立腺肥大症における自己免疫応答と微生物感染によるインフラマソーム制御機構の解明
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19K09733
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 淳也 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00769606)
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
関根 英治 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40363759)
羽賀 宣博 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50586617)
赤井畑 秀則 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644178)
石橋 啓 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90347211)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前立腺肥大症 / 補体 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
<BPHにおける補体関連分子の発現機能解析と胎児性抗原を標的とした自己免疫システムの解明> 胎児の泌尿生殖洞を移植して作成したBPHモデルラットを用いた補体関連分子の発現機能解析を行い、二次元電気泳動法および質量分析による補体活性化原因分子(胎児性抗原)の同定を試みた。BPHモデルラットを用いた補体成分の発現機能解析の結果、BPH組織において有意に補体各成分(C1q, C3, C5b-9, FactorB、MBL)の発現が増加していた。さらにその発現は経時的に増加しており、始めに古典的経路、レクチン経路が、その後2次的に第二経路が活性化していることがわかった。さらにBPH組織において、免疫複合体(IgG)の形成が確認され、自己免疫反応による抗体の存在が考えられた。免疫沈降、質量分析を行い、自己抗原候補の4分子(α-SMA, β-actin、Hsp90、Annexin)が新たに同定された。 <前立腺および腸内微生物環境制御の解明と未知微生物の探索研究> まず、次世代シークエンサーによるメタゲノム解析を想定し、ヒト前立腺組織を用いてPCRを行なった。その結果、一般細菌に加えてChlamydia trachomatisが検出され、前立腺組織中に数種の病原体の存在が確認された。これらをシークエンスし菌種の同定を試みた結果、一部の前立腺組織検体中にChlamydia trachomatis) DNAの存在が認められた。またクラミジアが検出された、前立腺肥大症患者は臨床的に無症候性であるという特徴が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<BPHにおける補体関連分子の発現機能解析と胎児性抗原を標的とした自己免疫システムの解明> これらの研究は国内外の学会で発表を行なっている(International Continence Society, American Urological Association)。特に国内の学会では、第106回日本泌尿器科学会総会総会賞を受賞している。本研究の内容は、英国雑誌「Scientific Reports」に掲載された.(Hata J, Sekine H, Kojima Y, et al. Complement activation by autoantigen recognition in the growth process of benign prostatic hyperplasia. Sci Rep. 2019.)。 <前立腺および腸内微生物環境制御の解明と未知微生物の探索研究> 前立腺肥大症患者において、real-timeに前立腺におけるChlamydia trachomatisの潜伏感染が証明された報告はこれまでにない。今後、研究成果を学会等で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
<BPHにおける補体関連分子の発現機能解析と胎児性抗原を標的とした自己免疫システムの解明> 今回の解析の結果、補体活性化による炎症の増幅がBPH増殖に関与し、補体B因子を中心とする第二経路がその活性化を増幅していることが示唆された。さらにヒトBPH組織においても同様の結果を示唆する所見を得た。最近、補体第二経路構成成分であるB因子を標的とした遺伝子改変動物を作成に成功した。現在、それを用いた増殖抑制効果及び補体の発現機能解析を行うことで、補体阻害によるBPH増殖過程の解明及び新規治療薬の開発に向けた基礎的研究を行うことを予定している。 <前立腺および腸内微生物環境制御の解明と未知微生物の探索研究> 今後は、さらにヒト前立腺組織および腸内や尿中微生物のシーケンスを行い、包括的にスクリーニングを進めていく。またそれと併行して、同定された病原体と下部尿路機能症状や臨床的パラメータ(前立腺重量、尿流測定、残尿量など)の比較を行い、前立腺肥大症発症との関連を検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Complement Activation by Autoantigen Recognition in the Growth Process of Benign Prostatic Hyperplasia2019
Author(s)
Hata J, Machida T, Matsuoka K, Hoshi S, Akaihata H, Hiraki H, Suzuki T, Ogawa S, Kataoka M, Haga N, Ishibashi K, Homma Y, Sekine H, Kojima Y.
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Journal Title
Sci Rep .
Volume: 9
Pages: 20357
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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