2021 Fiscal Year Research-status Report
酸素ナノバブル水による腎結石形成の抑制機序の解明と予防法の開発
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19K09735
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
廣瀬 泰彦 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60381894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (00595184)
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
海野 怜 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40755683)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80551267)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸素ナノバブル水 / 尿路結石 / 低酸素誘導因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素ナノバブル水は、低酸素状態の腫瘍の低酸素誘導因子(Hypoxia-inducible facter:HIF)の発現を抑制し、炎症性サイトカイン(TNFα)刺激による血管内皮細胞からの接着分子(ICAM-1、VCAM-1)発現と、活性化マクロファージの血管内皮細胞への接着を防ぐことにより、動脈硬化を抑制することが報告されている。そこで、私たちは、結石形成モデル動物を用いて、酸素ナノバブル水の、尿路結石形成抑制効果を調べた。酸素ナノバブル水は、結石形成モデルラットにおいて、尿中シュウ酸飽和度を変化させないが、尿細管細胞障害、酸化ストレスを低下させ、シュウ酸カルシウム結晶の接着因子であるオステオポンチンとヒアルロン酸の腎での発現を抑制し、腎結石形成を抑制することが示唆された。 尿路結石形成の促進因子であるメタボリックシンドロームは、局所的に低酸素状態を引き起こし、動脈硬化など疾患の進行に関与している。その酸化ストレス応答細胞内シグナル伝達経路の中心的役割をHIFが担っており、酸素ナノバブル水の効果を測定するために、HIFの機能評価をおこなった。 マウス尿細管上皮細胞(M-1細胞)へCOM結晶を暴露させ、結石付着量、HIFおよび関連因子の発現を調べた。M-1細胞に対して、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)結晶(20ng/cm2)を添加したCOM投与群、HIF活性化効果のある薬剤FG-4592(50、100μM)を投与6時間後にCOM結晶を添加したCOM+FG群の2群に分け、結晶暴露0,2,4,6,24時間後に細胞を回収し偏光顕微鏡で結晶付着率を計測した。COM投与群、COM+FG4592群では、それぞれ、時間に比例しHIF1αの増加を認めたが、COM投与群に比べて、COM+FG4592群では、HIF1αと、結石付着量に関して有意な差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞での酸素ナノバブル水の細胞傷害抑制作用、crystal-cell-interactionへの影響の検討は、清潔下での酸素ナノバブル培養液での実験ができず、おこなえなかった。 ヒトの結石抑制効果を調べるためには、指標となる血中、尿中のバイオマーカーが必要だが、確立ができていないため、ヒトへの投与はできなかった。臨床試験を行うための基礎的な研究が不足し、名古屋市立大学の大学院医学研究科倫理審査委員会の審査をうけることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、HIF活性化効果のある薬剤FG-4592の濃度を増量し、M-1細胞へCOM結晶の付着量、PCR法にてHIFや、IL-6やTNF-αなどの炎症マーカー、酸化ストレスマーカーであるSOD-1を測定し、HIFと結石形成の関連を評価する。酸素ナノバブル水の培養液をもちいて実験系で、HIFの発現を抑制し、結石形成が抑制されるかどうか評価していく。
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Causes of Carryover |
酸素を直径200nm以下のガス核として安定化させた「酸素ナノバブル水」による尿路結石形成抑制のメカニズムを解明する研究である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定してていた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。次に最終年度として、規格に合った「酸素ナノバブル水」を用いた低酸素誘導因子の抑制に着目した腎結石抑制機序の解明に取り組んで行きたい。
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[Presentation] THE MECHANISM OF KIDNEY STONE SUPPRESSION BY PROLINE HYDROXYLASE INHIBITOR ADMINISTRATION2021
Author(s)
Kawase Kengo, Hamamoto Shuzo, Hattori Tatsuya, Okada Tomoki, Tanaka Yutaro, Sugino Takeru, Unno Rei, Taguchi Kazumi, Ando Ryosuke, Okada Atsushi, Yasui Takahiro
Organizer
American Urological Association Annual Meeting 2021
Int'l Joint Research