2019 Fiscal Year Research-status Report
HELLP症候群における補体活性化と血管新生関連因子についての研究
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19K09745
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 守 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (00374380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HELLP症候群 / モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管新生関連因子であるsoluble fms like tyrosine kinase (sFlt-1)とsoluble endoglin (sEng)の持続投与によって作成するHELLP症候群のモデルラットについて、文献上の投与量である、sFLt-1: 4.7μg/kg/day、sEng: 7μg/kg/day 7日間投与ではHELLP症候群モデルラットが作成できなかった。使用するラットの妊娠経過中の体重増加を考慮し投与量を再計算した実験も追加したがHELLP症候群モデルラットの作成ができなかったため、至適投与量の再検討を行うこととした。in vitroの実験として色素を使用し、実験に使用する浸透圧ポンプの投与速度を検討したところ、仕様書上は3-4時間のプライミング後は規定の投与速度になると記されていたが、投与開始12時間までは安定した投与速度が得られないことが判明し、投与期間を8日間に延長した。濃度は文献上と同様に設定し、投与期間を8日に延長してHELLP症候群のモデルラットの作成を試みたが、血圧上昇、血小板の低下を認めたが、肝機能の上昇が不十分であり、HELLP症候群の基礎にある妊娠高血圧腎症で認める蛋白尿の出現も見られなかったので、sFlt-1の濃度を妊娠高血圧腎症のモデルを作成する際の投与量である、7.4μg/kg/dayへ増量し、HELLP症候群モデルラットを作成した。 患者血清での補体活性化を調べるための症例集積については対照群である正常妊娠44例の集積は終了した。HELLP症候群症例は目標症例数20例中の6例、重症妊娠高血圧症候群症例は目標症例数40例中の14例の集積を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者血清での補体活性化を調べるための症例集積についてはHELLP症候群症例についてはやや集積が遅れているが、対照群である重症妊娠高血圧症候群症例および正常妊娠症例については順調に集積が進んでいる。 HELLP症候群モデルラットにおける補体活性化の有無についての検討は、文献上のsoluble fms like tyrosine kinaseとsoluble endoglinの投与量ではHELLP症候群モデルラットが再現できず、至適投与濃度の検討を行ってHELLP症候群のモデルラットの作成を行ったため、補体活性化の有無についての検討がまだ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
HELLP症候群および重症妊娠高血圧症候群患者の血清の集積を進めていく。 作成したHELLP症候群モデルラットを使用し、補体活性化の有無を補体活性化の最終産物であるC5b-9の血中濃度測定および肝臓、腎臓、胎盤での免疫染色により明らかにする。補体活性化が確認できた場合は補体の活性化を抑制するモノクローナル抗体を使用し、補体活性化の抑制によるHELLP症候群の治療効果について検討を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していたモデルラットを使用した実験が新形コロナウイルス感染症の拡大を受けて延期せざるをえなかったため、購入を予定していたラットおよび動物実験施設使用料、試薬の購入費が残額として発生した。 予定していた実験を次年度に行うことにより使用する。
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