2023 Fiscal Year Research-status Report
HELLP症候群における補体活性化と血管新生関連因子についての研究
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19K09745
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森川 守 関西医科大学, 医学部, 教授 (00374380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 補体制御因子 / 遺伝子変化 / HELLP症候群 / 重症妊娠高血圧腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度までに当初の研究計画を全て実施終了(一部不成功により中止)したため、令和3年度から新たに下記の研究を追加実施することとした。 「HELLP症候群ならびに重症妊娠高血圧腎症における補体制御因子の遺伝子変化の探索研究」HELLP症候群妊婦において、補体の異常活性化が報告されている。HELLP症候群において、エクリズマブ(補体C5に対するモノクローナル抗体)で著しく改善した、という海外からの報告がある。(わが国おいては、エクリズマブ投与はHELLP症候群では保険適用はない。)HELLP症候群ならびに妊娠高血圧腎症では先天的な遺伝子変化が見つかっていない。しかし、非典型溶血性尿毒症症候群の40-60%に補体制御因子の先天的な遺伝子変化(CFH, CFI, CD46, C3, CFB, THBD, DGKE, CFHR5遺伝子のタンパク質コード領域エクソンとその両端のスプライス部位領域)が見つかっている。 臨床ではHELLP症候群と非典型溶血性尿毒症症候群は症状が似ているため、鑑別診断が必要である。したがって、この先天的な遺伝子変化がHELLP症候群ならびに重症妊娠高血圧腎症の妊婦においても認められるかを明らかにする。このことが明らかにできると、新たな有効な治療法を開発することに役立つと考えられる。 本研究を令和3年度から開始し、令和4年3月31日までに3症例、令和5年3月31日までにさらに6症例、令和6年3月31日までにさらに8症例、合計で17症例のHELLP症候群症例に対して、同意取得の上で、血液検体を採取し補体制御因子の先天的な遺伝子変化を測定した。その際、補体価も同時に測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度までに当初の研究計画を全て実施終了(一部不成功により中止)したため、令和3年度から新たに研究を追加実施することとした。 追加研究は、研究者代表が関西医科大学へ移動してから、関西医科大学附属病院の倫理委員会に申請し、審査を経て、病院長より許可を受けて開始した。なお、その間に厚生労働省から「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」の一部改訂が行われ、関西医科大学では令和3年6月30日まで新たな研究の申請ならびに審査が中止されていたため、その後の申請ならびに承認となり、研究開始が令和3年10月からと大幅に遅れた。ターゲットとなる遺伝子異常を効率的に捕捉するために特に重症妊娠高血圧腎症症例のうち、HELLP症候群を合併した症例に対象を限定した。一方、新型コロナ禍に伴う外出制限の影響と考えられる自宅安静に伴い、新型コロナ禍以前に比しHELLP症候群の発症率が低下したため、症例の確保に難渋することになった。結果として現在17例まで施行し目標症例数(最低15例)には到達したが、未だ遺伝子異常は見つかっていない。 なお、The 22nd Congress of the Federation of Asia and Oceania Perinatal Societies FAOPS 2023 Tokyo, October 9, 2023において8例までの結果を発表した。その際、Funding informationとして、The presenter received support from the JSPS KAKENHI Grant Number 19K09745 (Japan).と記載した。現在、20ないし25症例まで症例数を増やすように研究を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、令和4年度までの予定であったが、研究機関の1年間の延長を申請し承認を得たため、引き続き令和6年度まで継続して行う。20-25例を目標に行う。 最終的には、補体制御因子の先天的な遺伝子変化の有無とその測定時の補体価やその他のパラメータならびに臨床所見との相関を検討する。 研究成果は英文論文として発表予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度までに当初の研究計画を全て実施終了(一部不成功により中止)したため、令和3年度から新たに研究を追加実施することとした。厚生労働省から「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」の一部改訂が行われ、関西医科大学では令和3年6月30日まで新たな研究の申請ならびに審査が中止されていたため、その後の申請ならびに承認となり、研究開始が令和3年10月からと大幅に遅れた。ターゲットとなる遺伝子異常を効率的に捕捉するために特に重症妊娠高血圧腎症症例のうち、HELLP症候群を合併した症例に対象を限定した。一方、新型コロナ禍に伴う外出制限の影響と考えられる自宅安静に伴い、新型コロナ禍以前に比しHELLP症候群の発症率が低下したため、症例の確保に難渋することになった。 令和6年度は、令和4年度ならびに令和5年度に引き続き、HELLP症候群ならびに妊娠高血圧腎症の先天的な遺伝子変化を見つけるべく、HELLP症候群ならびに妊娠高血圧腎症の症例に対して、非典型溶血性尿毒症症候群の40-60%に認められる補体制御因子の先天的な遺伝子変化の有無を評価する。令和6年度はさらに5-10例程度での測定を予定し、その測定費用として使用する。 また、結果をまとめて、学会発表ならびに英文論文発表を予定する。学会参加費ならびに交通費・宿泊費、英文校正料ならびに論文投稿費として使用する。
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