2020 Fiscal Year Research-status Report
腹膜播種オルガノイドモデルを用いたプラチナ耐性卵巣癌に対する新規治療法の開発
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19K09747
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 圭太 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10835341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 宗昭 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40362892)
徳永 英樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30595559)
重田 昌吾 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90842633)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / プラチナ感受性 / オルガノイドモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌のプラチナ感受性を制御する可能性がある分子を抽出し、複数のプラチナ抵抗性卵巣癌細胞株に対してRNA干渉法によるノックダウンを導入してプラチナ感受性の変化を検証した。その中で、Chromodomain-helicase-DNA-binding protein 4 (CHD4)の発現を抑制すると卵巣癌細胞においてプラチナ製剤への感受性が増強することが確認され、同分子に焦点をあてて研究を進めた。他の研究グループからCHD4阻害剤の譲渡を受け、代表的なプラチナ製剤との併用療法の効果を検証したところ、複数の卵巣癌細胞株において相乗的な薬剤相互作用が確認された。本研究結果より、CHD4を治療標的とすることで卵巣癌におけるプラチナ抵抗性を克服することができる可能性が示唆された。 CHD4がプラチナ感受性を制御するメカニズムについても検討を行ったところ、多剤排出トランスポーターであるP糖タンパク質(MDR1)の発言を遺伝子転写レベルで調節していることが明らかとなった。同成果は論文投稿準備中である(Y Oyama,S Shigeta,K Tsuji,et al.in revise) また、上記知見について3Dモデルで再現性を検討するため、現在卵巣癌オルガノイド作成を進めている。短期間の癌オルガノイド増殖が確認することができたが数週間の継代培養中に細胞の増殖能が急激に低下し、最終的に細胞死に至ってしまうことが確認された。引き続き培養条件、培養技術の最適化を行い、卵巣癌オルガノイド樹立に向けて研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣癌においてプラチナ感受性を制御する分子としてCHD4を同定でき、その作用メカニズムの探索は順調に進んでおり現在紙面での発表が期待できる段階にある。卵巣癌オルガノイドモデルに関してはまだ実験に供する段階ではないが短期間の培養が可能な段階には至っており、次年度にオルガノイドを用いた研究が期待できる段階まで到達している。
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Strategy for Future Research Activity |
安定して培養継代可能なプラチナ抵抗性卵巣癌オルガノイドモデルを樹立後、ここまでに得られた研究結果の再現性を3次元モデルで検証する予定である。一方、今回使用したCHD4阻害剤はマウス投与の実績がなく、譲渡を受けた量も限られており阻害剤を用いてのin vivoの検証は困難である。CHD4ノックアウトを導入した卵巣癌細胞や癌オルガノイドによるマウス異種移植モデルの作成も検討しているが、研究の進捗と期待される新規性を総合的に評価して判断する。 CHD4以外にもプラチナ感受性を制御する遺伝子群についても探索を進めており、新たな治療標的候補分子についても検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。令和3年度請求額と合わせて令和3年度に行う予定である卵巣癌オルガノイドモデル作成、プラチナ感受性を制御する新治療標的分子検索のためのスクリーニングおよび検証実験のための消耗品に使用する予定である
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