2020 Fiscal Year Research-status Report
Retrieval of mature oocytes from non-dominant follicles: a new therapy for PCOS
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19K09748
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
生水 真紀夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (30226302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 達也 千葉大学, 医学部附属病院, 技術職員 (00645640)
石川 博士 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70553973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 産婦人科学 / 非主席卵胞 / 難治性PCOS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主席(大)卵胞のみで卵子が成熟するという既成概念を変え、非主席(小)卵胞においても卵子が成熟しうることを示し、難治性PCOSを含む不妊治療への応用を目指している。これまでに、小卵胞穿刺により回収した卵子の25%が成熟(MII期)卵子であることを示し、正常胚発生能を有し健康な生児が得られることを確認した。また、形態学的観察により、小卵胞における卵子成熟機構には、大卵胞と同様の顆粒膜におけるLHCGRを介する機序と、卵丘の壁顆粒膜からの分離による抑制解除の機序とがある可能性を示してきた。本年度は、卵丘細胞のLHCGR発現が、壁顆粒膜細胞LHCGR発現量と相関することを確認した上で、小卵胞の卵丘細胞のLHCGR発現量を定量し、MII卵子を有する小卵胞では、大卵胞のそれより低いものの未熟卵子を有する小卵胞より上昇していることを確認した。これにより、小型卵胞においても 顆粒膜細胞のLHCGRを介して卵子成熟が進行しているとの仮説が示唆された。ついで、本年度から新たに小卵胞の臨床応用に向けての検討を始めた。通常の調節卵胞刺激では、18mm程度以上の大型卵胞への発育を目指すが、本研究の成果からは小卵胞のままで採卵を行っても治療成績が期待できると考えられる。そこで、PCOSを含む難治性不妊患者、IVF反復不成功患者を対象として、卵胞中期に少量のFSH/hMG投与(delayed FSH)を行い、小卵胞採卵を実施して体外受精成績の検討を開始した。当該患者の前治療周期のIVF成績と比較すると、delayed FSHは胚盤胞獲得率、生児獲得率ともに改善が認められている。今後、症例数を増やし検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に小卵胞卵子の成熟機構を明らかにする形態学的研究を行った。その結果、2つの成熟機構が推定されたため、本年度は、分子生物学的手法により成熟機構の確認を行った。その結果、小卵胞由来の成熟卵子の多くが、大卵胞の成熟機構とほぼ同様な成熟機構を取って成熟したものであることが示され、安全性への信頼が高まる結果となった。さらに、少量のゴナドトロピンを卵胞期後期に投与することで、卵胞の増大や自然排卵のリスク増大を来すことなく、小卵胞卵子の成熟を促進するという可能性が示された。そこで、本年度からは実際にdelayed FSH投与を開始し、その効果を確認する試験を開始した。ここまでのところ、予想通りの結果で、臨床応用に向けての検討を始めることができている。 基礎的検討では、アロマターゼconditional KOマウスを作成し、体外受精バイオ用モデルで小卵胞内卵子成熟モデルの作成を目指していたが、本年度はコロナ対応のためマウス飼育を中断したため研究は進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床的検討では、delayed FSHによるIVF症例を増やして小卵胞採卵の有効性を明らかにする。PCOS症例への効果に加えて、いわゆるPoor responderへの効果についても検討し、臨床応用の間口を広げられるか明らかにする。前年度の顆粒膜細胞におけるLHCGR発現量の解析結果について、形態学的観察と照合して解析を進める。さらに、成熟機序の違い(2つのタイプ)がIVF治療成績に影響を与えているか検討する。 基礎的検討では、アロマターゼconditional KOマウスの飼育を再開して、小卵胞体外成熟モデルでの検討を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ感染対策のため、マウスの飼育を中止した。次年度の感染状況に改善が見られるようであれば、マウスの飼育を再開する予定である。
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Research Products
(5 results)