2021 Fiscal Year Annual Research Report
周産期脳障害に対するマグネシウムのプレコンディショニング効果に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19K09756
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鮫島 浩 宮崎大学, 学長 (50274775)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 硫酸マグネシウム / 低酸素虚血性脳障害 / 胎児 / preconditioning |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床研究で示されている、Mgのpre-conditioning効果を動物実験で検討することを目的に、本年も実験を継続した。2020年までのモデル作製成功率の低さを考慮し、母獣をsummer-animalに限定して実施した。具体的には低酸素負荷を実施する24時間前の、生後6日目のラットでLevine-Rice modelを作成し、さまざまの濃度のMgを腹腔内に投与した。生後7日目に8%酸素環境下に90分間暴露し、その後母獣の元で飼育し、生後14日目に十分量の麻酔薬を投与し、脳組織を摘出した。脳組織は主にヘマトキシリンーエオジン染色で神経細胞の変性壊死を観察し、none-mild damage (障害面積が対照群の<25%), moderate (25-50%), severe (>50%), diedに分けて検討した。Mg濃度は、Low dose: 20mg/kg未満とHigh dose: 20mg/kg~150 mg/kgとした。 結果を以下に示す。low-dose群, n=20, none to moderate damage (n=3), severe or died (n=17), 一方、high-dose群, n=49, none to moderate damage (n=21), severe or died (n=28),であった。まず、重度脳障害か死亡の頻度でlow-dose, high-dose2群間で比較すると、low-dose群 85%(17/20)対high-dose群 57.1% (28/49)で、差は有意(p<0.03)であった。次に、死亡を除き、重度脳障害の頻度で比較すると、low-dose群 82.4%(14/17)対high-dose群 53.3% (24/45)で、同様に、差は有意(p<0.05)であった。以上から、24時間前のMg前負荷によって、その後の低酸素負荷に対する脳保護作用を認め、24時間前投与でのpre-conditioning効果が示された。 考察として、これまで、Mgの脳保護作用は分娩直前の単回投与か、分娩後の持続投与の有用性が基礎実験で示されていたが、今回、低酸素虚血負荷前のpre-conditioning投与の有効性が示された。今後、therapeutic windowが24時間以前のどこまで拡張できるのか、更なる検討が必要である。
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Research Products
(3 results)