2019 Fiscal Year Research-status Report
MRスペクトロスコピーを用いて子宮内膜症の悪性化を早期に予測する新規検査法の確立
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19K09758
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉元 千陽 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50382289)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 癌化 / 内膜症関連卵巣癌 / MRS |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症は、国内で約200万人以上の女性患者が潜在的に存在し、我々は前方視的臨床研究からチョコレート嚢胞患者の卵巣癌発生頻度は0.72%で、自然発生卵巣癌に比べ8倍以上の高率で癌化が起こることを初めて証明した。しかし、これまで癌化のリスクは年齢と腫瘍径しか明らかでなく、40歳以上や腫瘍径が6㎝以上の場合には手術を考慮している。また、超音波診断装置や核磁気共鳴映像法(MRI)による腫瘍の形態的評価によって癌化の可能性を判断しているが、病理組織検査で腫瘍性病変がない場合でも造影される壁在結節を認めたりと診断に難渋する例も多く存在する。癌化しているか否かは手術による摘出検体の病理学的検査によって初めて明らかにされるため、チョコレート嚢胞を有している患者は将来癌化するリスクを考慮して外科的切除を受けることが多い。従って、より低侵襲、且つ精度の高い診断方法の実用化が嘱望されている。 子宮内膜症の癌化のメカニズムについては未だ不明な点が多く、癌化のリスクも年齢と腫瘍径以外は明らかでないため、現状では優れた予知マーカーが存在しない。我々が今までに行った基礎研究の結果、嚢胞内容液に含まれるヘモグロビン由来の「鉄」による持続的酸化ストレスが発癌に密接に関連していることが明らかとなった。 さらに、癌化した嚢胞内容液中の鉄濃度は、良性のチョコレート嚢胞と比較して有意に鉄濃度が低いことを初めて生化学的に見出した。自施設でMRスペクトロスコピー(MRS)を用いて嚢胞内用液中の鉄濃度を測定したところ、感度86%・特異度94%で癌化の鑑別が可能であった。 今回は多施設共同研究で癌化の予測・早期診断が可能であるかを評価する事、また癌化の過程で鉄濃度に変化がおきるメカニズムを解明することで、癌化の予測や予防ができるかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究施設における倫理審査委員会承認に時間を要したこと、および新型コロナ感染症の流行により臨床試験を中断せざるを得ない状況に陥ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の流行が落ち着いた際には試験を再開する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症流行により、研究を中断せざるを得ない状況に陥ったため予想ほど経費を必要としなかった。
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Research Products
(3 results)