2019 Fiscal Year Research-status Report
日本人妊娠糖尿病における母児糖代謝異常に関わるゲノム・エピゲノム解析
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19K09761
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮越 敬 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70265883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 健一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 部長 (60360335)
河合 智子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (40423404)
田嶋 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (10396864)
荒田 尚子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 診療部長 (70214723)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 妊娠糖尿病 / 臍帯血DNA / メチル化 / 網羅的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景と目的: 妊娠糖尿病(GDM)合併母体からの出生児は小児肥満・2型糖尿病などメタボリックシンドロームの発症リスクが高い.母体の栄養・精神的ストレスなどの環境因子は,胎児発育のみならず“初期プログラミング”に影響し,生後の健康や疾病罹患を規定する.これまでの実験動物により“初期プログラミング”の主要な分子機構はエピゲノム変化であることが示されてきた.糖代謝異常例においても“初期プログラミング”異常が予想され,胎児期のエピゲノム解析によりその検討が可能と推測される.日本人糖代謝異常合併妊娠における胎児エピジェネティクスに関する知見は少ないため,母体糖代謝異常における胎児エピゲノム変化の解析を目的として本研究を行なった. 方法:対象は正期産単胎分娩例(GDM群:n=165;非GDM群:n=61)である.臍帯血DNAを試料とし, IlluminaEPICarray(Illumina社)によりGDMおよび非GDM群の臍帯血DNAメチル化を網羅的に比較検討した.DNAメチル化解析にあたっては血球分画補正を行った.なお,GDM例には食事療法および血糖自己測定を行い,必要に応じてインスリン療法を導入した. 結果:解析を行なった754,255箇所のメチル化サイトのうち,2箇所においてもにメチル化に有意差を認めた.具体的にはこれら2箇所においてのみGDM例では低メチル化状態を示し,GDM診断時の75g経口ブドウ糖負荷試験における血糖値やインスリン値および膵β細胞機能と有意な関連を示した. 考察:2箇所においてメチル化の差違が観察されたものの,総解析サイト数を考慮すると適切な血糖管理下のGDMにおける臍帯血DNAメチル化は正常耐糖能と同等であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産後糖代謝異常発症予測指標の作成を目的として、当初は網羅的検討を達成するため本研究ではMAF≦30%の既知2型糖尿病発症関連一塩基多型の解析を予定した。しかしながら、症例収集が十分ではなく、網羅的解析の実施は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 本研究への症例登録を促進する。 2. 妊娠糖尿病と同様に妊娠中の母体体重増加も胎児発育に影響を与える。そこで、妊娠中の母体体重増加度と臍帯血DNAメチル化に関する検討を予定している。
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Causes of Carryover |
国際学会への参画に変更が生じたため、次年度使用額が生じた。本資金は次年度の学術集会参加費用などに充当予定である。
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